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10話 制裁の開始 その4
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「ランドール・イクサバ」
「は、はい……王子殿下……!」
突然、応接室に現れた王子殿下を前に、ランドールの態度は180度変わっていた。ううん、180度変わったとかそういうレベルじゃない。野犬が野ウサギになったような変身に近い。腰深く座っていた彼は、すぐさま立ち上がり兄上に視線を合わせている。
「話は聞いていた。我が妹がどうしたのいうのだ? それほど不満だったのか?」
「そ、そんなことはございません……! えっ? 妹……?」
ランドールは兄上の質問の意図が理解出来ていなかったみたい。隣に座っているイリスは既に知っていることだけれど、ランドール自身は本当に知らなかったみたいね。両親などに教えてもらわなかったのかしら? まあ、両親が知っているとも限らないし、確か以前、挨拶にいった限りでは知らなかったと思う。
「ここに居る、アリシア・コムラータは私の父の血をひいた紛れもない実の妹だ。腹違いということにはなるが」
「な、なんと……そ、そんなことが……!?」
ランドール・イクサバはあまりの真実を上手く呑み込めなかったのか、私と兄上の顔を交互に見渡した。この辺はイリスと同じような態度ね。兄妹だってことが分かる前から、謙虚にしていればいいのに……なんで貴族には一部、こういう人がいるのかしら?
それが私の婚約者だったなんて信じたくないけど……。
「色々と事情があってね。アリシアは国王陛下、ヨハン・レイモンドの娘にあたる。もう少し正確に言えば、側室に該当する女性の娘ということになり、本来であれば王女待遇でもおかしくない存在だ」
「……!!」
とんでもないほどのランドールの表情。開いた口が塞がってないわね……ランドールは二枚目なんだけど、今はそれが見る影もないというか。それが少し悲しくも感じる……こういう権力差を見せる前に申し訳ない態度を取ってほしかったから。
「まあ、今はコムラータ伯爵のところに養女という形で世話になっているのだが……さて、どうしてくれようか? ランドール・イクサバ?」
「ひい……王子殿下……この度はアリシア殿へのご無礼、申し訳ございませんでした! 何卒、ご容赦を……!」
アリシア殿? この期に及んで私に敬称付けるとか……もう救いようがないわね。自分のことしか考えてないっていうか……せめて、愛した女性のイリスの免責を訴えるとかしなさいよ。
「ならん! ランドール、お前の罪は非常に重いものであるぞ!! この期に及んで、自分だけは助かろうとする態度もあり得んことだ! 元老院からの承認が下り次第、厳罰が下るものと心得よ!」
「そ、そんな……! うわぁぁぁぁぁぁ……!」
ランドールはあまりの出来事だったのか、その場で泣き崩れてしまった。大の男が非常に見苦しい姿ではあるけど……私としても同情する気にはなれなかったわ。
「イリス・サブラビッチよ」
「は、はい……王子殿下……」
「其方にも罰が下ることを覚悟せよ」
「……畏まりました……」
イリスは静かに自らの罪を認めた。ランドールとは大きな違いだけに私としても驚いている。こうして応接室での婚約破棄に関する制裁は終わりを告げた。
「は、はい……王子殿下……!」
突然、応接室に現れた王子殿下を前に、ランドールの態度は180度変わっていた。ううん、180度変わったとかそういうレベルじゃない。野犬が野ウサギになったような変身に近い。腰深く座っていた彼は、すぐさま立ち上がり兄上に視線を合わせている。
「話は聞いていた。我が妹がどうしたのいうのだ? それほど不満だったのか?」
「そ、そんなことはございません……! えっ? 妹……?」
ランドールは兄上の質問の意図が理解出来ていなかったみたい。隣に座っているイリスは既に知っていることだけれど、ランドール自身は本当に知らなかったみたいね。両親などに教えてもらわなかったのかしら? まあ、両親が知っているとも限らないし、確か以前、挨拶にいった限りでは知らなかったと思う。
「ここに居る、アリシア・コムラータは私の父の血をひいた紛れもない実の妹だ。腹違いということにはなるが」
「な、なんと……そ、そんなことが……!?」
ランドール・イクサバはあまりの真実を上手く呑み込めなかったのか、私と兄上の顔を交互に見渡した。この辺はイリスと同じような態度ね。兄妹だってことが分かる前から、謙虚にしていればいいのに……なんで貴族には一部、こういう人がいるのかしら?
それが私の婚約者だったなんて信じたくないけど……。
「色々と事情があってね。アリシアは国王陛下、ヨハン・レイモンドの娘にあたる。もう少し正確に言えば、側室に該当する女性の娘ということになり、本来であれば王女待遇でもおかしくない存在だ」
「……!!」
とんでもないほどのランドールの表情。開いた口が塞がってないわね……ランドールは二枚目なんだけど、今はそれが見る影もないというか。それが少し悲しくも感じる……こういう権力差を見せる前に申し訳ない態度を取ってほしかったから。
「まあ、今はコムラータ伯爵のところに養女という形で世話になっているのだが……さて、どうしてくれようか? ランドール・イクサバ?」
「ひい……王子殿下……この度はアリシア殿へのご無礼、申し訳ございませんでした! 何卒、ご容赦を……!」
アリシア殿? この期に及んで私に敬称付けるとか……もう救いようがないわね。自分のことしか考えてないっていうか……せめて、愛した女性のイリスの免責を訴えるとかしなさいよ。
「ならん! ランドール、お前の罪は非常に重いものであるぞ!! この期に及んで、自分だけは助かろうとする態度もあり得んことだ! 元老院からの承認が下り次第、厳罰が下るものと心得よ!」
「そ、そんな……! うわぁぁぁぁぁぁ……!」
ランドールはあまりの出来事だったのか、その場で泣き崩れてしまった。大の男が非常に見苦しい姿ではあるけど……私としても同情する気にはなれなかったわ。
「イリス・サブラビッチよ」
「は、はい……王子殿下……」
「其方にも罰が下ることを覚悟せよ」
「……畏まりました……」
イリスは静かに自らの罪を認めた。ランドールとは大きな違いだけに私としても驚いている。こうして応接室での婚約破棄に関する制裁は終わりを告げた。
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