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37話 リグリットの叫び その3

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(リグリット視点)


「なぜだ……? なぜ私はこんなところに居る……?」

「お前は遠隔地の領主になる前に、懲役が科せられることになったのだ。我が息子よ……まさか、ここまで落ちぶれてしまうとはな……」


 私は現在、王国の地下牢に幽閉されていた。小汚いトイレと、何か月も替えていないようなシーツを乗せたベッドしかない空間だ。私が居るべきところではないはず……この場所は本来であれば、罪人が入るべきところだろう?


 鉄格子の前に立っているのは、父上と母上だ。弟のマグリットの姿はない。


「リグリット……あなたは屋敷で私達や、ランカスター家の方々に危害を加えようとしたのよ? 半年間の懲役刑が科せられるのは当然でしょう? むしろ、その程度で済ませたのは私やガイアの力でもあるの。ここでの懲役の試練はあなたにとって、必ずプラスになると思うわ。頑張ってね」

「そ、そんな……! 母上……!?」


 私は朝起きると、理由も告げられずにこの場所へと誘われたのだ……そして、閉じ込められてしまった。議会で即興で決まった事柄だとでも言うのか……? 


「お、お待ちください母上……! 私は遠隔地の領主になるのでしょう……!?」

「そうね……ただしその前に、半年間の懲役刑が科せられたのよ。しっかりと受け入れなさい」

「ま、まさかそんなことが……!?」


 違う、この場所はおかしいのだ……地下牢は独房にはなっておらず、もう一人は言っている者が居る。周辺の牢獄に入っている者達も私を見て舌なめずりをしているのだ。そいつらは一斉に不気味な視線を向けている。


「とにかく頑張ることだ……それではな」

「しっかりと懲役を務めなさい。そうすればもしかしたら、遠隔地の領主になる時には追加の資金が渡されるかもしれないから」

「ま、待ってください母上、父上……!」


 二人はそう言い残して私の前から姿を消した。その状況を見計らったかのように、地下牢に居る罪人たちはしゃべり始めた。

「おいおい、貴族のお坊ちゃまが何をしでかしてこんな糞の掃き溜めに来ることになったんだ?」

「ひゃはははははは! こりゃあ、躾けのしがいがありそうだな? ママのおっぱいも卒業してないんじゃねぇのか!」

「まずは先輩への口の利き方から、しっかりと教育してやるぜ……? いままで苦もなく贅沢三昧だった貴族様よ~~~」

「な、何を言っているんだ……? 私はリグリット・バークス公爵令息だぞ……? 私に妙なことをしてただで済むわけが……!」

「そんなもん、この地下牢の世界では何の役にも立たねぇよ! ひゃははははははは!!」


 同じ牢獄に入っている人間かも不明な男が近付いて来た。私の人生はもしかしたらここで終了してしまうかもしれない……。
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