どう見ても貴方はもう一人の幼馴染が好きなので別れてください

ルイス

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16話 その後…… その2

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「あの、アルカ……えと、その……」

「はっ? なにか言った?」

「いえ、なんでもないよ……」

「よろしい」


 私は信じられない光景を見てしまっていた……私とラインハルト様は、とあるパーティーに出席していたのだけっれど。久しぶりに、アルカとクローヴィスの姿を見かけたのだった。他の貴族に紛れているので、向こうはまだ気付いていないようだけれど。


「レレイ殿、あちらにいらっしゃるのは、クローヴィス殿ではないですかな?」

「はい、そうみたいですね……隣に立っているのが、婚約者で幼馴染のアルカです」

「奇遇ですね。しかし、何といえば良いのか……」


 ラインハルト様は言葉を失っていた。その理由は簡単だ。クローヴィスが……あのクローヴィスが、アルカの尻に敷かれているように見えたから。一体、何があったらあんなことになるんだろうか?


「クローヴィス、早く来て。あなたはこれから、色んなことを我慢しないといけないんだから」

「ちょっと待ってくれ、アルカ。せめて、食事だけでも……」

「何を言ってるの? それよりも、挨拶しに行く方々が居るでしょう? 何のためにこのパーティーに参加しているか分かってるの? まずは、あなたの虚しい理想なんて存在しないところから始めたつもりだったけど、それすら打ち消すのは難しそうね。これは大きな課題になるわ……」

「わ、わかったよ……」

「よろしい」


 会話はあんまり聞こえてこないけれど、明らかにクローヴィスの自由がなくなっていた。


「ははっ、あの状況を見るだけでも、クローヴィス殿がどういう目に遭っているのかが、想像出来てしまいます。婚約者の方は大変でしょうが、頑張っていただきたいですね」

「そうですね……私も応援しています」


 アルカとはさっき目が合った。でも、敢えてこちらには向かって来ていない。迷惑を掛けない為なのか、それともクローヴィスの調教が完了してから、改めて会いにくる手筈でも考えているのか。アルカがなんだか、女王様のように見えてきてしまった。

 どういう経緯であんな状態になったのかは不明だけれど、今は声を掛けない方が良さそうね。私とラインハルト様は彼らには接触せずにパーティーを楽しむことにした。
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