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10話 勝手な言い分 その1
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「話を整理してもいいかしら、クローヴィス?」
私はクローヴィスが当たり前のように私に話しかけていることに、混乱しつつも話の状況を整理することにした。
「整理をするのは良いけれど、別にそんなに深く考える必要はないんじゃないかな? 僕たちが幼馴染であることに変わりはないのだし……」
「それはそうかもしれないけれど……」
おかしい、この時点で既にクローヴィスの思考回路はおかしいと言わざるを得ない。私達は性格的な問題で婚約の解消をした。その時点で本来であれば、他人行儀に話す存在になるはずだ。しかし、今の彼は婚約をする前の彼とまったく変わらずに接して来ている。
しかも、私の傍にはラインハルト様が居るというのに……まったく気にする素振りを見せずに。
「クローヴィス、何かおかしいとは思わないの?」
「えっ、何がだいレレイ? よく分からないんだけど……」
もう駄目かもしれない……話すのが苦痛になってきたわ。
「あなたは、アルカと婚約しているはずでしょう? アルカはどうしたのよ?」
とりあえず話の方向性を変えてみた。クローヴィスはあからさまに嫌な顔を見せている。何かあったわね絶対……聞きたくはないけれど。
「実は、アルカとの関係はあまり上手く行ってないんだ……彼女は僕の求める女性ではなかったのかもしれない」
頭を抱えながらクローヴィスは悩んでいるようだった。そんなことだろうと思ったわ。大方、自分の理想像ばかりをアルカにも押し付けて、少しでも違うと文句を言ったのでしょうね。私と婚約していた時と何も変わっていない……彼は根本的に間違っていることに気付いていないのだ。
「僕はやっぱり、君との関係を続けたいと思っているんだ。レレイ、僕とやり直してくれないかな?」
「は?」
「……」
あまりに予想外の言葉に、私は思わず呆けた声をあげてしまった。ラインハルト様も無言ではあったけれど、クローヴィスの言葉に目を見開いている。流石に予想外過ぎたようね……。
「別に問題ないだろう、レレイ? 君なら磨けばきっと、僕の理想の奥さんになってくれると確信したんだ。お願いだ、レレイ。もう一度、僕と付き合って欲しい!」
全く悪びれている様子のないクローヴィス。これでは、アルカが可哀想になってくるレベルだ。彼の中では再婚約の敷居が異常に低いのかもしれない。本来はとてもハードルが高いことなんだけれどね。
「クローヴィス殿、それは流石に身勝手過ぎる言い分ではないですか?」
私が反論しようとした時、ラインハルト様が代わりとばかりにクローヴィスに対して叱責の言葉を口にした。クローヴィスは目を見開いている……これから、現実を突きつけられるのだ。
私はクローヴィスが当たり前のように私に話しかけていることに、混乱しつつも話の状況を整理することにした。
「整理をするのは良いけれど、別にそんなに深く考える必要はないんじゃないかな? 僕たちが幼馴染であることに変わりはないのだし……」
「それはそうかもしれないけれど……」
おかしい、この時点で既にクローヴィスの思考回路はおかしいと言わざるを得ない。私達は性格的な問題で婚約の解消をした。その時点で本来であれば、他人行儀に話す存在になるはずだ。しかし、今の彼は婚約をする前の彼とまったく変わらずに接して来ている。
しかも、私の傍にはラインハルト様が居るというのに……まったく気にする素振りを見せずに。
「クローヴィス、何かおかしいとは思わないの?」
「えっ、何がだいレレイ? よく分からないんだけど……」
もう駄目かもしれない……話すのが苦痛になってきたわ。
「あなたは、アルカと婚約しているはずでしょう? アルカはどうしたのよ?」
とりあえず話の方向性を変えてみた。クローヴィスはあからさまに嫌な顔を見せている。何かあったわね絶対……聞きたくはないけれど。
「実は、アルカとの関係はあまり上手く行ってないんだ……彼女は僕の求める女性ではなかったのかもしれない」
頭を抱えながらクローヴィスは悩んでいるようだった。そんなことだろうと思ったわ。大方、自分の理想像ばかりをアルカにも押し付けて、少しでも違うと文句を言ったのでしょうね。私と婚約していた時と何も変わっていない……彼は根本的に間違っていることに気付いていないのだ。
「僕はやっぱり、君との関係を続けたいと思っているんだ。レレイ、僕とやり直してくれないかな?」
「は?」
「……」
あまりに予想外の言葉に、私は思わず呆けた声をあげてしまった。ラインハルト様も無言ではあったけれど、クローヴィスの言葉に目を見開いている。流石に予想外過ぎたようね……。
「別に問題ないだろう、レレイ? 君なら磨けばきっと、僕の理想の奥さんになってくれると確信したんだ。お願いだ、レレイ。もう一度、僕と付き合って欲しい!」
全く悪びれている様子のないクローヴィス。これでは、アルカが可哀想になってくるレベルだ。彼の中では再婚約の敷居が異常に低いのかもしれない。本来はとてもハードルが高いことなんだけれどね。
「クローヴィス殿、それは流石に身勝手過ぎる言い分ではないですか?」
私が反論しようとした時、ラインハルト様が代わりとばかりにクローヴィスに対して叱責の言葉を口にした。クローヴィスは目を見開いている……これから、現実を突きつけられるのだ。
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