8 / 17
8話 クローヴィスとの鉢合わせ その1
しおりを挟む
「ラインハルト様……とてもお上手でございます!」
「そうですか? まだまだ、レレイ嬢には敵いませんが、褒めていただけると嬉しいものですね。ありがとうございます」
私は貴族街にある遊戯施設でビリヤードを楽しんでいた。そのお相手は、以前の舞踏会で約束を交わしたラインハルト様だ。
私は休日を利用してラインハルト様と遊戯施設内で遊んでいるのだ。貴族の方々がチラホラ居るけれど、基本的には男性が多く、貴族令嬢はあまり入らない場所とされていた。
ビリヤードやダーツなどが貴族令嬢の間で流行っていないのはその為だ。そもそも、遊戯施設に来る令嬢が居ないのだから、流行りようがない。そんな中、私はラインハルト様と一緒にビリヤード勝負をしている。異端児扱いされてしまっても文句を言えない立場だろう。
それにしても……ラインハルト様はビリヤードが非常に上手かった。昔から趣味としてやっている私とそこまで実力が変わらない程に。ビリヤードの腕は自信があっただけに、ラインハルト様を尊敬すると同時に少しだけ悔しかった。
「私よりも既に上かと思われます」
「いえ、そんなことは」
「事実です。私はビリヤードは自信がありましたのに……少しショックですね」
「な、なんと……! それは申し訳ないことです……!」
ラインハルト様はかなり取り乱していた。私に対しても敬語で話してくださるし、お優しいお方だと思う。
「うふふ。冗談ですよ、ラインハルト様。ただし、次の遊戯であるダーツはお手柔らかにお願いしますね?」
「なかなか、反応に困る冗談を行われるのですね、レレイ嬢は。意外でした」
「お褒めの言葉として受け取ってよろしいですか?」
「ええ、もちろんですよ。さて……次はダーツにでも移りますか?」
ビリヤード勝負は一段落着いたので、次はダーツに目をやるラインハルト様だった。ちなみにビリヤードの結果は一応、私の勝利である。ただし、次にやるときはおそらく勝てないだろうという実感を、持たされてしまっていた。
ラインハルト様との遊戯はとても楽しかった。私の場合は趣味を行っているのだから当たり前だけれど、ラインハルト様は聞き上手であり、私の長所を褒めてくれるからだ。私を立ててくれているのが、今回のデート? から伝わってくる。
「ダーツも非常にお上手だなんてことはご容赦くださいね。私のメンタル面に影響してしましますので……」
「あははは、それは細心の注意をしなければなりませんね」
「うふふふふ」
「はははははっ」
私とラインハルト様の間に流れるのは静寂か。私達は笑顔で話しながら、ダーツ広場の前に立った。次に始める遊戯はダーツだ。ラインハルト様の腕がどのくらいなのか、気になるところね。そんなことを楽しく考えていたら……。
「レレイ? レレイじゃないか! やっぱり、ここで会えたか、良かったよ!」
この声は、クローヴィス……? 私はまだそちらに視線を合わせてはいないけれど、その声の主は確実に私に近づいて来ていた。私をロックオンしているのは間違いないようだ……嘘でしょ、勘弁してよ。
「そうですか? まだまだ、レレイ嬢には敵いませんが、褒めていただけると嬉しいものですね。ありがとうございます」
私は貴族街にある遊戯施設でビリヤードを楽しんでいた。そのお相手は、以前の舞踏会で約束を交わしたラインハルト様だ。
私は休日を利用してラインハルト様と遊戯施設内で遊んでいるのだ。貴族の方々がチラホラ居るけれど、基本的には男性が多く、貴族令嬢はあまり入らない場所とされていた。
ビリヤードやダーツなどが貴族令嬢の間で流行っていないのはその為だ。そもそも、遊戯施設に来る令嬢が居ないのだから、流行りようがない。そんな中、私はラインハルト様と一緒にビリヤード勝負をしている。異端児扱いされてしまっても文句を言えない立場だろう。
それにしても……ラインハルト様はビリヤードが非常に上手かった。昔から趣味としてやっている私とそこまで実力が変わらない程に。ビリヤードの腕は自信があっただけに、ラインハルト様を尊敬すると同時に少しだけ悔しかった。
「私よりも既に上かと思われます」
「いえ、そんなことは」
「事実です。私はビリヤードは自信がありましたのに……少しショックですね」
「な、なんと……! それは申し訳ないことです……!」
ラインハルト様はかなり取り乱していた。私に対しても敬語で話してくださるし、お優しいお方だと思う。
「うふふ。冗談ですよ、ラインハルト様。ただし、次の遊戯であるダーツはお手柔らかにお願いしますね?」
「なかなか、反応に困る冗談を行われるのですね、レレイ嬢は。意外でした」
「お褒めの言葉として受け取ってよろしいですか?」
「ええ、もちろんですよ。さて……次はダーツにでも移りますか?」
ビリヤード勝負は一段落着いたので、次はダーツに目をやるラインハルト様だった。ちなみにビリヤードの結果は一応、私の勝利である。ただし、次にやるときはおそらく勝てないだろうという実感を、持たされてしまっていた。
ラインハルト様との遊戯はとても楽しかった。私の場合は趣味を行っているのだから当たり前だけれど、ラインハルト様は聞き上手であり、私の長所を褒めてくれるからだ。私を立ててくれているのが、今回のデート? から伝わってくる。
「ダーツも非常にお上手だなんてことはご容赦くださいね。私のメンタル面に影響してしましますので……」
「あははは、それは細心の注意をしなければなりませんね」
「うふふふふ」
「はははははっ」
私とラインハルト様の間に流れるのは静寂か。私達は笑顔で話しながら、ダーツ広場の前に立った。次に始める遊戯はダーツだ。ラインハルト様の腕がどのくらいなのか、気になるところね。そんなことを楽しく考えていたら……。
「レレイ? レレイじゃないか! やっぱり、ここで会えたか、良かったよ!」
この声は、クローヴィス……? 私はまだそちらに視線を合わせてはいないけれど、その声の主は確実に私に近づいて来ていた。私をロックオンしているのは間違いないようだ……嘘でしょ、勘弁してよ。
85
お気に入りに追加
2,847
あなたにおすすめの小説
安息を求めた婚約破棄
あみにあ
恋愛
とある同窓の晴れ舞台の場で、突然に王子から婚約破棄を言い渡された。
そして新たな婚約者は私の妹。
衝撃的な事実に周りがざわめく中、二人が寄り添う姿を眺めながらに、私は一人小さくほくそ笑んだのだった。
そう全ては計画通り。
これで全てから解放される。
……けれども事はそう上手くいかなくて。
そんな令嬢のとあるお話です。
※なろうでも投稿しております。
【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
美形揃いの王族の中で珍しく不細工なわたしを、王子がその顔で本当に王族なのかと皮肉ってきたと思っていましたが、実は違ったようです。
ふまさ
恋愛
「──お前はその顔で、本当に王族なのか?」
そう問いかけてきたのは、この国の第一王子──サイラスだった。
真剣な顔で問いかけられたセシリーは、固まった。からかいや嫌味などではない、心からの疑問。いくら慣れたこととはいえ、流石のセシリーも、カチンときた。
「…………ぷっ」
姉のカミラが口元を押さえながら、吹き出す。それにつられて、広間にいる者たちは一斉に笑い出した。
当然、サイラスがセシリーを皮肉っていると思ったからだ。
だが、真実は違っていて──。
【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。
❄️冬は つとめて
恋愛
「ルミナス、済まない。カノンが……。」
「大丈夫ですの? カノン様は。」
「本当に済まない。、ルミナス。」
ルミナスの婚約者のオスカー伯爵令息は、何時ものように済まなそうな顔をして彼女に謝った。
「お兄様、ゴホッゴホッ。ルミナス様、ゴホッ。さあ、遊園地に行きましょ、ゴボッ!! 」
カノンは血を吐いた。
可愛い姉より、地味なわたしを選んでくれた王子様。と思っていたら、単に姉と間違えただけのようです。
ふまさ
恋愛
小さくて、可愛くて、庇護欲をそそられる姉。対し、身長も高くて、地味顔の妹のリネット。
ある日。愛らしい顔立ちで有名な第二王子に婚約を申し込まれ、舞い上がるリネットだったが──。
「あれ? きみ、誰?」
第二王子であるヒューゴーは、リネットを見ながら不思議そうに首を傾げるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる