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3話 幸せの始め? その1
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なんだかあの日から思い悩む日が多くなってしまった。思い悩む日というのはランバル・デネトイ公爵令息と会ってからの話だ。あの若き騎士団長様……ゼノン様に婚約破棄をされたばかりの私にとっては、想像以上に大きな出来事だったようだ。
メイドのアルファもそれを感じているようだ。
「ふふふ、シャール様。ランバル様との出会いは運命だったのではありませんか?」
「な、何を言っているのよ……アルファ!」
「ランバル様は前任の騎士団長が大怪我で動けなくなった為に、急遽、宛がわれたと聞いております。勿論、それだけの才能があったということなのでしょうが……まだまだ、羽目を外したい御年なのではないですか? そういう意味では、シャール様との出会いはあの方にとっても運命的だったのではないかと」
「ええ……まさか、そんなはずは……」
個人的には嬉しい事柄だけれど、とても信じられないことだった。仮にも騎士団長を務めるお方……さらに公爵令息という立場のお方だ。つまりは王家とも関連のある人物なわけで……いくら、侯爵令嬢とはいえ格が違う相手だったのだ。
「でも、シャール様は一目惚れをされたのではないですか?」
「うっ……それは……」
アルファの言葉は間違いではないと思う。この胸のドキドキ感は一目惚れという言葉であればしっくりくるというものだ。そういう意味では私はランバル様に恋をしたということになる。もっとランバル様のことを知りたい欲求に駆られていたのは事実だ。
「まあ、アルファの言う通りかもしれないわ。でも……私が公爵令息であり、騎士団長であるランバル様に恋だなんて……流石に場違い過ぎるわ。いくらなんでも失礼過ぎるでしょう? 相手方にとって」
「そうでしょうか?」
「えっ?」
侯爵令嬢が公爵令息で騎士団長であるランバル様に恋をする……少し場違い感を覚えていたのだけれど。アルファはそのようには感じていない様子だった。
「公爵令息であるランバル様と、上位貴族であられるシャール様が恋仲になるのは不思議ではないと思いますが……ゼノン様とは別れたのですから、気兼ねなくアプローチを掛けられるのではないですか?」
「あ、アルファ……」
アルファの言葉はメイドとは思えない程に大胆なものだった。でも、彼女から言われると納得してしまう自分がいる。なんだかんだで、アルファのことは非常に信頼している為だ。公爵令息であるランバル様との恋……それは決して不可能なことではないのかしら?
メイドのアルファもそれを感じているようだ。
「ふふふ、シャール様。ランバル様との出会いは運命だったのではありませんか?」
「な、何を言っているのよ……アルファ!」
「ランバル様は前任の騎士団長が大怪我で動けなくなった為に、急遽、宛がわれたと聞いております。勿論、それだけの才能があったということなのでしょうが……まだまだ、羽目を外したい御年なのではないですか? そういう意味では、シャール様との出会いはあの方にとっても運命的だったのではないかと」
「ええ……まさか、そんなはずは……」
個人的には嬉しい事柄だけれど、とても信じられないことだった。仮にも騎士団長を務めるお方……さらに公爵令息という立場のお方だ。つまりは王家とも関連のある人物なわけで……いくら、侯爵令嬢とはいえ格が違う相手だったのだ。
「でも、シャール様は一目惚れをされたのではないですか?」
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アルファの言葉は間違いではないと思う。この胸のドキドキ感は一目惚れという言葉であればしっくりくるというものだ。そういう意味では私はランバル様に恋をしたということになる。もっとランバル様のことを知りたい欲求に駆られていたのは事実だ。
「まあ、アルファの言う通りかもしれないわ。でも……私が公爵令息であり、騎士団長であるランバル様に恋だなんて……流石に場違い過ぎるわ。いくらなんでも失礼過ぎるでしょう? 相手方にとって」
「そうでしょうか?」
「えっ?」
侯爵令嬢が公爵令息で騎士団長であるランバル様に恋をする……少し場違い感を覚えていたのだけれど。アルファはそのようには感じていない様子だった。
「公爵令息であるランバル様と、上位貴族であられるシャール様が恋仲になるのは不思議ではないと思いますが……ゼノン様とは別れたのですから、気兼ねなくアプローチを掛けられるのではないですか?」
「あ、アルファ……」
アルファの言葉はメイドとは思えない程に大胆なものだった。でも、彼女から言われると納得してしまう自分がいる。なんだかんだで、アルファのことは非常に信頼している為だ。公爵令息であるランバル様との恋……それは決して不可能なことではないのかしら?
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