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35話 愛情 その1
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「姉さま~~~~! 助けてください~~~! もう姉さましか頼れないんです~~!」
奇しくもユアン様の物真似とよく似ている……。
ユアン様に無理を言って、メープルを私の部屋に入れる許可をいただいた。ユアン様は全く気にしている素振りはなかったけど、私は申し訳なさ過ぎて大変な気持ちだった。ただでさえ、再教育を受けているはずのブレイク公爵家から抜け出すなんてあり得ないのに。
アモネート家の屋敷ではなく、ブリスド宮殿に来るなんて……恥知らずの領域をとっくに超えている。しかも、姉さましか頼れる人が居ないときたものだ……さて、どうしようか?
「お父様やお母様を頼ればいいでしょう?」
「お父様やお母様は頼りにならないですよ~~! ブレイク公爵家が相手だと何もできない、としか言わないに決まってます!」
本気で泣いているようなメープル……再教育のプログラムはそんなに厳しいのかしら? 一般的な常識を持っていれば、決して辛いものではないはすだけれど。ああ、メープルに一般的な常識を期待すること自体が間違いだったわね。
「お父様やお母様が何とか出来ないことを、私が何とか出来るわけはないでしょう? それに、どうやってリシド様のところを抜け出して来たの?」
「馬車で近くの開拓地を視察に行くところだったんですが……その時に、強引に馬車から出て来たんです……」
「あなたは、なんてことを……」
流石に言葉が出てこない。近くで聞いていたドルチェも頭を抱える始末だ。ユアン様にも聞こえているけれど、特に表情を変えることはなかった。メープルならそれくらいやりかねないと思われているのかしら?
「姉さまだったら、王子殿下のお力を借りられると思うんです! お願いいたします、姉さま! 私を、メープルを助けてください!」
可愛い妹の必死のお願いと言えばいいのかしら……いえ、これは必死というよりは命を懸けたお願いに近いのかもしれないわね。しかし、貴族としてのマナーを学ぶ為の再教育でここまでのお願いをされる日が来るとは思わなかったわ。
「大丈夫よ、メープル。私に任せておきなさい」
「姉さま! やっぱり頼りになります! 一生付いていきます!」
こういうのを二枚舌というのかしら。私は表情には出さなかったけれど、メープルに対してとても悪い感情を持ってしまっていた。ここは分岐点になるわね……彼女が少しでもまともな貴族令嬢になれるかどうかの。
「ユアン様達のお力をお借りするまでもないわ、メープル」
「えっ? そうなんですか……?」
「ええ、だってあなたをリシド様に渡すだけなんですもの。非常に簡単なことだわ」
「ね、姉さま……? 冗談ですよね、可愛い妹がこんなに頼んでるんですから……」
「私はあなたの願いを聞き過ぎたのかもしれないわ。今度の再教育は強制的に受けなさい。それで少しはマシになるでしょう。もしも今度逃げたら……罪人として扱われるかもしれないわよ?」
「ひ、ひい……! そ、そんな……!」
今のメープルには脅し気味で話す方が効果的ね。既にリシド様の再教育プログラムを抜けているから、許されるかは分からないけれど、強制的に戻す方が彼女の為だと私は判断した。
ドルチェやユアン様も頷いてくれている……間違ってなかったみたいね。
奇しくもユアン様の物真似とよく似ている……。
ユアン様に無理を言って、メープルを私の部屋に入れる許可をいただいた。ユアン様は全く気にしている素振りはなかったけど、私は申し訳なさ過ぎて大変な気持ちだった。ただでさえ、再教育を受けているはずのブレイク公爵家から抜け出すなんてあり得ないのに。
アモネート家の屋敷ではなく、ブリスド宮殿に来るなんて……恥知らずの領域をとっくに超えている。しかも、姉さましか頼れる人が居ないときたものだ……さて、どうしようか?
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「お父様やお母様は頼りにならないですよ~~! ブレイク公爵家が相手だと何もできない、としか言わないに決まってます!」
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「お父様やお母様が何とか出来ないことを、私が何とか出来るわけはないでしょう? それに、どうやってリシド様のところを抜け出して来たの?」
「馬車で近くの開拓地を視察に行くところだったんですが……その時に、強引に馬車から出て来たんです……」
「あなたは、なんてことを……」
流石に言葉が出てこない。近くで聞いていたドルチェも頭を抱える始末だ。ユアン様にも聞こえているけれど、特に表情を変えることはなかった。メープルならそれくらいやりかねないと思われているのかしら?
「姉さまだったら、王子殿下のお力を借りられると思うんです! お願いいたします、姉さま! 私を、メープルを助けてください!」
可愛い妹の必死のお願いと言えばいいのかしら……いえ、これは必死というよりは命を懸けたお願いに近いのかもしれないわね。しかし、貴族としてのマナーを学ぶ為の再教育でここまでのお願いをされる日が来るとは思わなかったわ。
「大丈夫よ、メープル。私に任せておきなさい」
「姉さま! やっぱり頼りになります! 一生付いていきます!」
こういうのを二枚舌というのかしら。私は表情には出さなかったけれど、メープルに対してとても悪い感情を持ってしまっていた。ここは分岐点になるわね……彼女が少しでもまともな貴族令嬢になれるかどうかの。
「ユアン様達のお力をお借りするまでもないわ、メープル」
「えっ? そうなんですか……?」
「ええ、だってあなたをリシド様に渡すだけなんですもの。非常に簡単なことだわ」
「ね、姉さま……? 冗談ですよね、可愛い妹がこんなに頼んでるんですから……」
「私はあなたの願いを聞き過ぎたのかもしれないわ。今度の再教育は強制的に受けなさい。それで少しはマシになるでしょう。もしも今度逃げたら……罪人として扱われるかもしれないわよ?」
「ひ、ひい……! そ、そんな……!」
今のメープルには脅し気味で話す方が効果的ね。既にリシド様の再教育プログラムを抜けているから、許されるかは分からないけれど、強制的に戻す方が彼女の為だと私は判断した。
ドルチェやユアン様も頷いてくれている……間違ってなかったみたいね。
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