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9話 シャルナとユアン その1
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退屈なほどの感情で私は、メープルとリシド様の会話を聞いていた。私を蔑むような発言も見受けられたけど、反論する気も起きなかったわ。どうせ妹のことだから、私が悔しがっているとか思っていたんでしょうけど。
そんな時、執事に呼ばれて席を外していた、ユアン王子殿下が戻って来た。メープルもリシド様も、先ほどの余裕な態度からは一変しているように見える。ユアン王子殿下も二人の存在に気付いた。
「これはこれは、ブレイク公爵ではないか」
「ユアン王子殿下……ご無沙汰しております」
リシド様は私と会った時とは全く違う、丁寧な態度でユアン王子殿下に挨拶をする。
「ゆ、ユアン王子殿下! こ、こんばんは……! あとその……!」
逆に妹のメープルは驚くほどにテンパってるようだった。ユアン王子殿下に掛ける言葉も少し変だし。
「君は……シャルナの妹のメープルだったかな?」
「は、はい! そうです!」
まるで幼い子供のような口調で、メープルはユアン王子殿下と会話をしている。まるで、この時だけメープルが幼児化したみたいに見えるけど、そうではない。
彼女は根本的には世間知らずなのだ。だから王族の方など、予期せぬ人物と会った場合はこういう態度になることがあった。貴族としては致命的な気がするけれど、それを可愛らしいと好む貴族も居るようで……。
「ユアン様、執事とのお話はお済みになったのですか?」
「ああ、そちらは問題なく終了したよ。しかし……面白い面々で会話をしていたようだな」
「そうですね。面白いか、は別にして……」
そう言いながら、私はリシド様とメープルの二人を交互に見た。ユアン王子殿下が近くに居るからは、二人とも明らかに動揺している節がある。
「一体、どういう話をしていたか、聞いてもいいかな?」
「大したお話ではありません。ただ……やはり、私よりも妹のメープルの方がリシド・ブレイク公爵に相応しかったということを実感しました。二人はとても仲が良いので……ふふふ」
「なるほど、そういった類の話か」
「い、いえ……はははっ」
ユアン王子殿下を前にして、リシド様の口数は少ない。先ほどまで、メープルも自信満々で私との差を語っていたのに、それも今はなくなっていた。
「ブレイク公爵。シャルナとの婚約を破棄し、その妹であるメープル嬢との婚約を成立させたようだな?」
「さ、左様でございますね……」
「ふむ。私からすれば、シャルナ程の人物は他に知らないのだが……ブレイク公爵のお眼鏡には叶わなかったか」
「よしてください、ユアン様。私など……リシド様から、愛想を尽かされる存在でしかないのですから」
「なるほど、そういう見方も出来るか。しかし、私としてはシャルナが誰の物にもなっていない状況は、嬉しいとさえ思えるな」
「ゆ、ユアン様……!?」
ユアン王子殿下らしからぬ発言に、私は驚いてしまう。い、今のはどういう意味なのかしら……そのままの意味として捉えると、ええと……。
「……」
先ほどまでの雰囲気とは真逆と言えるだろうか。この時の私とユアン王子殿下は、メープルから言わせれば「カップル」に見えていたらしい。
そんな時、執事に呼ばれて席を外していた、ユアン王子殿下が戻って来た。メープルもリシド様も、先ほどの余裕な態度からは一変しているように見える。ユアン王子殿下も二人の存在に気付いた。
「これはこれは、ブレイク公爵ではないか」
「ユアン王子殿下……ご無沙汰しております」
リシド様は私と会った時とは全く違う、丁寧な態度でユアン王子殿下に挨拶をする。
「ゆ、ユアン王子殿下! こ、こんばんは……! あとその……!」
逆に妹のメープルは驚くほどにテンパってるようだった。ユアン王子殿下に掛ける言葉も少し変だし。
「君は……シャルナの妹のメープルだったかな?」
「は、はい! そうです!」
まるで幼い子供のような口調で、メープルはユアン王子殿下と会話をしている。まるで、この時だけメープルが幼児化したみたいに見えるけど、そうではない。
彼女は根本的には世間知らずなのだ。だから王族の方など、予期せぬ人物と会った場合はこういう態度になることがあった。貴族としては致命的な気がするけれど、それを可愛らしいと好む貴族も居るようで……。
「ユアン様、執事とのお話はお済みになったのですか?」
「ああ、そちらは問題なく終了したよ。しかし……面白い面々で会話をしていたようだな」
「そうですね。面白いか、は別にして……」
そう言いながら、私はリシド様とメープルの二人を交互に見た。ユアン王子殿下が近くに居るからは、二人とも明らかに動揺している節がある。
「一体、どういう話をしていたか、聞いてもいいかな?」
「大したお話ではありません。ただ……やはり、私よりも妹のメープルの方がリシド・ブレイク公爵に相応しかったということを実感しました。二人はとても仲が良いので……ふふふ」
「なるほど、そういった類の話か」
「い、いえ……はははっ」
ユアン王子殿下を前にして、リシド様の口数は少ない。先ほどまで、メープルも自信満々で私との差を語っていたのに、それも今はなくなっていた。
「ブレイク公爵。シャルナとの婚約を破棄し、その妹であるメープル嬢との婚約を成立させたようだな?」
「さ、左様でございますね……」
「ふむ。私からすれば、シャルナ程の人物は他に知らないのだが……ブレイク公爵のお眼鏡には叶わなかったか」
「よしてください、ユアン様。私など……リシド様から、愛想を尽かされる存在でしかないのですから」
「なるほど、そういう見方も出来るか。しかし、私としてはシャルナが誰の物にもなっていない状況は、嬉しいとさえ思えるな」
「ゆ、ユアン様……!?」
ユアン王子殿下らしからぬ発言に、私は驚いてしまう。い、今のはどういう意味なのかしら……そのままの意味として捉えると、ええと……。
「……」
先ほどまでの雰囲気とは真逆と言えるだろうか。この時の私とユアン王子殿下は、メープルから言わせれば「カップル」に見えていたらしい。
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