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3話 パーティーへの参加 その2
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「楽しみにして参加したのは良かったけれど……」
「大丈夫でございますか、お嬢様?」
「ええ、大丈夫よ。ただ、少し圧倒されているだけで……」
「そうですね、私も間近に見て緊張しております……」
執事として同行しているアルウェン。パーティー会場はスローンズ王国が誇る宮殿内に新設されていた。シャンデリアの数からして他のパーティー会場とは格が違うように見える。既にパーティーは始まっており、この豪華な会場にふさわしい貴族の面々が周囲には居た。
「どなたから挨拶をすれば良いのかしら……お父様達と一緒に来れば良かったかも……」
「伯爵様も後程、いらっしゃるようでございますよ。お嬢さま」
「ええ、それは聞いているわ」
お父様達が来ることは分かっていたけれど、私は先にアルウェンとパーティー会場に入っていたのだった。ただ……その考えは失敗だったのかもしれない。侯爵以上の家系の方々が多い為、なかなか私のほうから挨拶に行きにくいというのが本音だ。
いえ、下位の者が挨拶に行くのが普通なんだけれど……今日はなんだか、脚が上手く前に出なかった。おそらくは、婚約破棄の影響が出ているのだと思う。軽い人間不信というかそんな感じだろうか……。
「失礼、あなたがアメリア・レイカールト伯爵令嬢でしょうか?」
「えっ……?」
誰に挨拶に行こうか迷っていた時、私の前に一人の男性が現れた。赤い礼装に身を包んだ金髪のお方だ。この方は……アルウェンもその人物には非常に驚いているようだった。
「ドミニク・スローンズ王子殿下……? は、はい! アメリア・レイカールトと申します!」
「ああ、やはりそうでしたか。こうして、お話をするのは初めてですかね?」
「さ、左様かと存じます……!」
丁寧な態度で挨拶に来てくれた相手……まさか、王子殿下が来られるなんて夢にも思わなかった。驚きのあまり、私はその場から逃げ出したいくらいにパニックになっている。とにかく、落ち着いて……ふう。
あれ、でもどうして彼が私に声を掛けてきたのかしら……? 王子殿下に声を掛けられるのは嬉しいことだけれど、なんとなく腑に落ちなかった。
「大丈夫でございますか、お嬢様?」
「ええ、大丈夫よ。ただ、少し圧倒されているだけで……」
「そうですね、私も間近に見て緊張しております……」
執事として同行しているアルウェン。パーティー会場はスローンズ王国が誇る宮殿内に新設されていた。シャンデリアの数からして他のパーティー会場とは格が違うように見える。既にパーティーは始まっており、この豪華な会場にふさわしい貴族の面々が周囲には居た。
「どなたから挨拶をすれば良いのかしら……お父様達と一緒に来れば良かったかも……」
「伯爵様も後程、いらっしゃるようでございますよ。お嬢さま」
「ええ、それは聞いているわ」
お父様達が来ることは分かっていたけれど、私は先にアルウェンとパーティー会場に入っていたのだった。ただ……その考えは失敗だったのかもしれない。侯爵以上の家系の方々が多い為、なかなか私のほうから挨拶に行きにくいというのが本音だ。
いえ、下位の者が挨拶に行くのが普通なんだけれど……今日はなんだか、脚が上手く前に出なかった。おそらくは、婚約破棄の影響が出ているのだと思う。軽い人間不信というかそんな感じだろうか……。
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「えっ……?」
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