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22話 オボンヌ宮殿 その2
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私とカインさん、ライズさんの3人は兵士や騎士たちの包囲網を掻い潜って、宮殿を目指すことにした。途中で何回か攻撃を受けたけど、バリアのおかげで無傷だった。バリアを張ってなければ大怪我してただろうけど。
「見えて来たぞ!」
「2人の侵入者と騎士たちがやり合っているみたいね」
間に合った! 背後からは私達を追う騎士たちの姿が見えるけど……まずは、侵入者の二人を倒すことが優先! カインさんとライズさんの二人なら行けるはず!
「追い付かれたか……いや、余計な援軍がいるようやな」
「ああ、どこかで見た奴らだね。えっと、有名な冒険者……だっけ?」
「阿呆、ウェンデル。トップクラスの冒険者パーティのレッドブラックの面子やんけ」
「本当に? シオン。あの後ろの女も?」
「いや、前だけの二人組のはずやけどな……」
なに……? オボンヌ宮殿を攻めようとしていた二人はお互いの名前を確かに呼び合っていた。ウェンデルとシオン……それだけじゃない、レッドブラックの二人を知りながらも、全く怯んでいる様子がない。
その余裕を裏付けるかのように、相手にしていた騎士団を切り伏せ、私達に照準を合わせていた。不味い……この二人は侵入者の中でも段違いの強さ……バリアを一瞬たりとも薄めるわけにはいかない相手!
そうでなければ、レッドブラックの二人はともかく、戦闘能力の低い私はすぐに殺されてしまう。私はいつにも増して、バリア展開に全ての神経を注いだ。
-----------------------------------
「そこまでだ、お前たち……観念するんだな」
「相当な威圧感を感じるわ……生かしておくなんて余裕はないみたい。投降しないなら、死んでもらうけど、構わないわね?」
カインさんとライズさんの最後通告が侵入者の二人に告げられた。この通告を無視した場合、容赦のない死の攻撃が待っているということだ。普通の侵入者なら投降を選ぶだろうけれど……ウェンデルとシオンの二人は違った。
「残念やけど、俺ら二人を他の賊と同じやと思うと大変やで?」
「そんな油断をすると思っているのか? 交渉決裂だな、死ね」
カインさんは恐ろしい程に容赦がなかった。シオンと呼ばれた男の首筋を狙い、協力無比な打撃をお見舞いする。
「ちっ! 流石にまともに相手するんはしんどいな……! なら……! ウェンデル!」
「分かってる、任せろ」
「!」
指示を受けたウェンデルは、私が反応出来ない速度で、くないを投げていた。私は首筋に当たるまでその存在に気付くことはできなかった……。バリアを展開していたおかげで、無傷ではあったけれど。直後に大量の冷や汗を流してしまう。
「ミシディア! 大丈夫!?」
私の容態を気にしてくれたのか、ライズさんがすぐに駆け付けてくれた。
「は、はい! 私は大丈夫です。でも……」
「はっ……!?」
私の言葉にライズさんも振り返る。既に、シオンとウェンデルの姿は消えていた。オボンヌ宮殿の内部へと侵入したのか、それとも逃走をしたのか。今の私達では判断が出来なかった……。
「見えて来たぞ!」
「2人の侵入者と騎士たちがやり合っているみたいね」
間に合った! 背後からは私達を追う騎士たちの姿が見えるけど……まずは、侵入者の二人を倒すことが優先! カインさんとライズさんの二人なら行けるはず!
「追い付かれたか……いや、余計な援軍がいるようやな」
「ああ、どこかで見た奴らだね。えっと、有名な冒険者……だっけ?」
「阿呆、ウェンデル。トップクラスの冒険者パーティのレッドブラックの面子やんけ」
「本当に? シオン。あの後ろの女も?」
「いや、前だけの二人組のはずやけどな……」
なに……? オボンヌ宮殿を攻めようとしていた二人はお互いの名前を確かに呼び合っていた。ウェンデルとシオン……それだけじゃない、レッドブラックの二人を知りながらも、全く怯んでいる様子がない。
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そうでなければ、レッドブラックの二人はともかく、戦闘能力の低い私はすぐに殺されてしまう。私はいつにも増して、バリア展開に全ての神経を注いだ。
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「そこまでだ、お前たち……観念するんだな」
「相当な威圧感を感じるわ……生かしておくなんて余裕はないみたい。投降しないなら、死んでもらうけど、構わないわね?」
カインさんとライズさんの最後通告が侵入者の二人に告げられた。この通告を無視した場合、容赦のない死の攻撃が待っているということだ。普通の侵入者なら投降を選ぶだろうけれど……ウェンデルとシオンの二人は違った。
「残念やけど、俺ら二人を他の賊と同じやと思うと大変やで?」
「そんな油断をすると思っているのか? 交渉決裂だな、死ね」
カインさんは恐ろしい程に容赦がなかった。シオンと呼ばれた男の首筋を狙い、協力無比な打撃をお見舞いする。
「ちっ! 流石にまともに相手するんはしんどいな……! なら……! ウェンデル!」
「分かってる、任せろ」
「!」
指示を受けたウェンデルは、私が反応出来ない速度で、くないを投げていた。私は首筋に当たるまでその存在に気付くことはできなかった……。バリアを展開していたおかげで、無傷ではあったけれど。直後に大量の冷や汗を流してしまう。
「ミシディア! 大丈夫!?」
私の容態を気にしてくれたのか、ライズさんがすぐに駆け付けてくれた。
「は、はい! 私は大丈夫です。でも……」
「はっ……!?」
私の言葉にライズさんも振り返る。既に、シオンとウェンデルの姿は消えていた。オボンヌ宮殿の内部へと侵入したのか、それとも逃走をしたのか。今の私達では判断が出来なかった……。
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