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13話 王国側の危機 その2 【視点混在】
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「来たか、ミシディア」
「はい、カインさん……」
とある宿屋の一室の前で、カインさんは待機していた。私とライズさんが来たのを見て、どこか安心しているようにも見える。
「こちらから依頼したことなので、申し訳はないが……しばらくは、一緒に行動させてほしい」
「いえ、私もカインさんやライズさんと話せるのは楽しいので。そんなに気を遣わないでください」
「そうか……そう言ってもらえると嬉しいな」
「じゃあ、カインは隣の部屋に泊まるとして、私とミシディアが同室。しばらくはこの形態を基本にしましょうか」
「わかりました」
流石にカインさんと同室は不味いので、カインさんは隣の部屋で、私とライズさんが同じ部屋で寝る、ということになってる。
カインさんと軽く手を振って別れると、私とライズさんは部屋へと入った。
「でも、本当に済まないね。こんなこと頼んでしまって」
部屋に入ると、ライズさんはベッドに座りながら言って来た。「こんなこと」っていうのは、護衛の依頼のことよね。
「あはは、気にしないでくださいよ。私だって安心できますし。それに、ライズさんと話せるの楽しいじゃないですか」
「ありがとう、ミシディア。でも、私の話して楽しいことってある?」
「ありますよ、例えば……カインさんとの関係性とか!」
「なっ……!」
めずらしく驚いているライズさん。これは何かあるわね……よ~し、今夜は根掘り葉掘り聞いちゃうんだから。
--------------------------------------------------
その頃、同時刻……
【グレス王子殿下視点】
「グレス王子殿下、賊の侵入があったようですわ」
「そうか、場所はどこだ?」
時刻は0時過ぎ……ある程度、警戒を重ねていたが、やはり侵入者の来訪があったか。私は結界で捕捉しているアンネに問いかける。
「正門から西に200メートル程の地点から侵入した模様ですわね。有刺鉄線などは物ともしていないようです」
「まあ、宮殿に侵入を試みる連中だからな。何人だ?」
「申し訳ありません、正確な人数はもう少し時間がかかります」
「そうなのか?」
「はいっ」
……? 確かミシディアの奴は即座に人数の把握も行っていたと思うが……まあいい。今回の賊の侵入は好都合だ。アンネとリーアの二人の能力を世に知らしめるという意味でもな。
馬鹿な侵入者よ、せいぜい私たちの実験台として頑張ってくれよ?
「はい、カインさん……」
とある宿屋の一室の前で、カインさんは待機していた。私とライズさんが来たのを見て、どこか安心しているようにも見える。
「こちらから依頼したことなので、申し訳はないが……しばらくは、一緒に行動させてほしい」
「いえ、私もカインさんやライズさんと話せるのは楽しいので。そんなに気を遣わないでください」
「そうか……そう言ってもらえると嬉しいな」
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「わかりました」
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「ありがとう、ミシディア。でも、私の話して楽しいことってある?」
「ありますよ、例えば……カインさんとの関係性とか!」
「なっ……!」
めずらしく驚いているライズさん。これは何かあるわね……よ~し、今夜は根掘り葉掘り聞いちゃうんだから。
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……? 確かミシディアの奴は即座に人数の把握も行っていたと思うが……まあいい。今回の賊の侵入は好都合だ。アンネとリーアの二人の能力を世に知らしめるという意味でもな。
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