8 / 22
8話 宮殿の事情 その2 視点混在
しおりを挟む
【ミシディア視点】
さてさて、どうしようか……店の名前すら出来ていない、私の聖女としての役職。まあ、ギルド内で働かせてもらってるわけだから、当然ではあるんだけど。
サービスを開始してから10日……そろそろ、無料のサービス期間を終える時期かと思える。一応、この何日かで似たようなお店がないかは調査してみたけど……教会関係以外で、見つけることは出来なかった。
医者は少し違うし……教会は基本的には、無償で治療に当たっている。私のように、防御魔法と回復魔法を両立したお店は発見することができなかった。裏を返せば独占商売に近い状態ではある。ある程度、高い金額を吹っかけても基準がない以上は問題ない気がするけど……。
ライズさんの言葉である、よく考えるようにというのが良く分かった気がした。あの人はこうなることを予見していたってことよね? う~ん、どうしよう……。基準がない以上は誰かに相談するのも難しいし……。
「とりあえず、1000ルピーにしようかな」
1000ルピーといえば、それなりの金額にはなる。でも、稼いでる冒険者からすれば大した金額でもないはず。例えるなら、特効薬の値段と同じくらいかしら。あとは……宿屋での1泊の金額が大体、500ルピーくらいかな。
そう考えると、決して安くはないけれど、効果を考えればそれほど無茶な金額ではないと思う。高すぎてお客さんが減ったら、安くすればいいだけだし。基準となる価格がほとんどないんだから、こればかりは手探りで判断するしかないわよね。
とりあえず、私はバリア展開を1回当たり1000ルピーに設定することにした。このミシディア・リンクス……ある意味では勝負に出た価格となっていた。
------------------------------------------------
【グレス王子殿下視点】
さて……アンネとリーア、二人の聖女の能力で、我がオボンヌ宮殿は結界で守られた。厳密にはミシディアの結界とは異なるだろうが、問題はない。最近は凶悪な賊が父上の命を狙っているという噂もあるくらいだからな。彼女らのおかげで、我が守りはより強固になったと言えるだろう。
我が父上にして、国王であるバーンヘル・ドヌーブ……その命を狙う闇組織の存在など認めるわけにはいかんからな。薄汚い平民にそんな大役が務まるわけはない。由緒正しき家系出身の聖女達に任せて正解だったと言えるだろう。
「ふはははは、今頃、ミシディアはどんな顔をしているのかな?」
田舎に帰り、泥臭い農作業でもしているのか……想像するだけで笑いが込み上げてしまうな。まあ、あの女にはそれくらいがお似合いだろう。
全ては計画通りだ……オボンヌ宮殿を神聖不可侵の領域にし、決して平民風情が足を運べない領域にする。薄汚い冒険者のレッドブラックなどが出入りしていた時期もあったが……それも完全に失くしてやる。
さてさて、どうしようか……店の名前すら出来ていない、私の聖女としての役職。まあ、ギルド内で働かせてもらってるわけだから、当然ではあるんだけど。
サービスを開始してから10日……そろそろ、無料のサービス期間を終える時期かと思える。一応、この何日かで似たようなお店がないかは調査してみたけど……教会関係以外で、見つけることは出来なかった。
医者は少し違うし……教会は基本的には、無償で治療に当たっている。私のように、防御魔法と回復魔法を両立したお店は発見することができなかった。裏を返せば独占商売に近い状態ではある。ある程度、高い金額を吹っかけても基準がない以上は問題ない気がするけど……。
ライズさんの言葉である、よく考えるようにというのが良く分かった気がした。あの人はこうなることを予見していたってことよね? う~ん、どうしよう……。基準がない以上は誰かに相談するのも難しいし……。
「とりあえず、1000ルピーにしようかな」
1000ルピーといえば、それなりの金額にはなる。でも、稼いでる冒険者からすれば大した金額でもないはず。例えるなら、特効薬の値段と同じくらいかしら。あとは……宿屋での1泊の金額が大体、500ルピーくらいかな。
そう考えると、決して安くはないけれど、効果を考えればそれほど無茶な金額ではないと思う。高すぎてお客さんが減ったら、安くすればいいだけだし。基準となる価格がほとんどないんだから、こればかりは手探りで判断するしかないわよね。
とりあえず、私はバリア展開を1回当たり1000ルピーに設定することにした。このミシディア・リンクス……ある意味では勝負に出た価格となっていた。
------------------------------------------------
【グレス王子殿下視点】
さて……アンネとリーア、二人の聖女の能力で、我がオボンヌ宮殿は結界で守られた。厳密にはミシディアの結界とは異なるだろうが、問題はない。最近は凶悪な賊が父上の命を狙っているという噂もあるくらいだからな。彼女らのおかげで、我が守りはより強固になったと言えるだろう。
我が父上にして、国王であるバーンヘル・ドヌーブ……その命を狙う闇組織の存在など認めるわけにはいかんからな。薄汚い平民にそんな大役が務まるわけはない。由緒正しき家系出身の聖女達に任せて正解だったと言えるだろう。
「ふはははは、今頃、ミシディアはどんな顔をしているのかな?」
田舎に帰り、泥臭い農作業でもしているのか……想像するだけで笑いが込み上げてしまうな。まあ、あの女にはそれくらいがお似合いだろう。
全ては計画通りだ……オボンヌ宮殿を神聖不可侵の領域にし、決して平民風情が足を運べない領域にする。薄汚い冒険者のレッドブラックなどが出入りしていた時期もあったが……それも完全に失くしてやる。
15
お気に入りに追加
3,208
あなたにおすすめの小説

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中

聖女のわたしを隣国に売っておいて、いまさら「母国が滅んでもよいのか」と言われましても。
ふまさ
恋愛
「──わかった、これまでのことは謝罪しよう。とりあえず、国に帰ってきてくれ。次の聖女は急ぎ見つけることを約束する。それまでは我慢してくれないか。でないと国が滅びる。お前もそれは嫌だろ?」
出来るだけ優しく、テンサンド王国の第一王子であるショーンがアーリンに語りかける。ひきつった笑みを浮かべながら。
だがアーリンは考える間もなく、
「──お断りします」
と、きっぱりと告げたのだった。

理不尽な理由で婚約者から断罪されることを知ったので、ささやかな抵抗をしてみた結果……。
水上
恋愛
バーンズ学園に通う伯爵令嬢である私、マリア・マクベインはある日、とあるトラブルに巻き込まれた。
その際、婚約者である伯爵令息スティーヴ・バークが、理不尽な理由で私のことを断罪するつもりだということを知った。
そこで、ささやかな抵抗をすることにしたのだけれど、その結果……。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

【完結】婚約破棄寸前の悪役令嬢は7年前の姿をしている
五色ひわ
恋愛
ドラード王国の第二王女、クラウディア・ドラードは正体不明の相手に襲撃されて子供の姿に変えられてしまった。何とか逃げのびたクラウディアは、年齢を偽って孤児院に隠れて暮らしている。
初めて経験する貧しい暮らしに疲れ果てた頃、目の前に現れたのは婚約破棄寸前の婚約者アルフレートだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる