聖女だけど追放されました!~街で人々の為に商売始めたんだけど、王国の防衛は大丈夫ですよね?~

ルイス

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8話 宮殿の事情 その2 視点混在

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【ミシディア視点】


 さてさて、どうしようか……店の名前すら出来ていない、私の聖女としての役職。まあ、ギルド内で働かせてもらってるわけだから、当然ではあるんだけど。

 サービスを開始してから10日……そろそろ、無料のサービス期間を終える時期かと思える。一応、この何日かで似たようなお店がないかは調査してみたけど……教会関係以外で、見つけることは出来なかった。


 医者は少し違うし……教会は基本的には、無償で治療に当たっている。私のように、防御魔法と回復魔法を両立したお店は発見することができなかった。裏を返せば独占商売に近い状態ではある。ある程度、高い金額を吹っかけても基準がない以上は問題ない気がするけど……。


 ライズさんの言葉である、よく考えるようにというのが良く分かった気がした。あの人はこうなることを予見していたってことよね? う~ん、どうしよう……。基準がない以上は誰かに相談するのも難しいし……。


「とりあえず、1000ルピーにしようかな」


 1000ルピーといえば、それなりの金額にはなる。でも、稼いでる冒険者からすれば大した金額でもないはず。例えるなら、特効薬の値段と同じくらいかしら。あとは……宿屋での1泊の金額が大体、500ルピーくらいかな。


 そう考えると、決して安くはないけれど、効果を考えればそれほど無茶な金額ではないと思う。高すぎてお客さんが減ったら、安くすればいいだけだし。基準となる価格がほとんどないんだから、こればかりは手探りで判断するしかないわよね。


 とりあえず、私はバリア展開を1回当たり1000ルピーに設定することにした。このミシディア・リンクス……ある意味では勝負に出た価格となっていた。




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【グレス王子殿下視点】


 さて……アンネとリーア、二人の聖女の能力で、我がオボンヌ宮殿は結界で守られた。厳密にはミシディアの結界とは異なるだろうが、問題はない。最近は凶悪な賊が父上の命を狙っているという噂もあるくらいだからな。彼女らのおかげで、我が守りはより強固になったと言えるだろう。

 我が父上にして、国王であるバーンヘル・ドヌーブ……その命を狙う闇組織の存在など認めるわけにはいかんからな。薄汚い平民にそんな大役が務まるわけはない。由緒正しき家系出身の聖女達に任せて正解だったと言えるだろう。



「ふはははは、今頃、ミシディアはどんな顔をしているのかな?」


 田舎に帰り、泥臭い農作業でもしているのか……想像するだけで笑いが込み上げてしまうな。まあ、あの女にはそれくらいがお似合いだろう。


 全ては計画通りだ……オボンヌ宮殿を神聖不可侵の領域にし、決して平民風情が足を運べない領域にする。薄汚い冒険者のレッドブラックなどが出入りしていた時期もあったが……それも完全に失くしてやる。

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