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6話 ギルドの聖女 その4
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「ライズさんでも不可能って……本当ですか?」
最強クラスの冒険者チームである「レッドブラック」
そんな人達に褒められるなんて、自信しか付かないんだけど大丈夫かな? グレス王子殿下は後釜が見つかったって言ってたし、後から井の中の蛙だったんてオチはないわよね?
「ええ、そうね……防御魔法は幾つか唱えられるけど、基本的に持続時間は数分間が限度だわ。その度に掛けなおすのが前提になるわね」
「ミシディア、君のようにバリアをギルドで展開して、そのまま冒険に行くという光景は異例の事態と言えるだろう」
「そ、そうだったんですか……」
宮殿で働いていた時は感じなかったけど、私のやってたことは異例だったんだ……。
「バリア以外にも、結界とかも展開していたんでしょう?」
「はい、そうですね……王国の各地を回って展開したりとか、宮殿の周囲に展開したりとか」
「なるほど……流石は聖女様ね……」
「いえ、そんなことは……」
ライズさんはお世辞抜きに褒めてくれているみたいだけど、こんなに称賛されたのは初めてなので、なんだか照れてしまう。
「さらに回復魔法も使えるんだろう?」
「はい……使えますけど」
回復魔法を使えるのは普通だと思う。おそらくは、ライズさんだって使えるはずだし……。
「バリアに結界……それほどのことが可能で、さらに回復魔法まで行使できるか。なるほど、天才の一人と言っても過言ではないだろうな」
「そうね、素晴らしいわ」
えっと……なんて答えればいいんだろう。レッドブラックの二人にこんなに褒めてもらえるなんて、誰が予想しただろうか? 私は夢じゃないかと、自然と頬をつねっていた。大丈夫、痛いから決して夢ではないわ。
-----------------------------------------------
「それで? ミシディアは、ギルド内で仕事を続けるのかしら?」
「そうですね、しばらくはそうするつもりです」
身の振り方も定まっていない状況だし、それが一番良いと判断した。最終的には、自分の店なんかを持ちたいけれど……それはまた今度の話ね。
「なるほど……ならば、ギルドに来れば君に会えるわけか。俺たちもおそらくは利用させてもらうが、その時はよろしく頼む」
「はい、いつでも来てください。特別料金でお待ちしていますので!」
「ふふ、ありがとう。でも、あなた程の能力を受けられるなら、むしろ高めでも良いくらいよ? 今はサービス期間みたいだけれど、料金設定とかはちゃんとした方がいいわよ」
「なるほど……わかりました、参考にさせていただきます」
まさか料金設定の心配をされるとは思わなかったけど、良いアドバイスを貰えたと思う。
「それにしても……ミシディアほどの聖女を解雇して、プラティーン王国は大丈夫なのか?」
「そうね……それは心配だわ」
カインさんとライズさんは、なにやら王国の心配をしているようだった。でも、私の後釜は居るみたいだし、大丈夫だと思うけど……。
最強クラスの冒険者チームである「レッドブラック」
そんな人達に褒められるなんて、自信しか付かないんだけど大丈夫かな? グレス王子殿下は後釜が見つかったって言ってたし、後から井の中の蛙だったんてオチはないわよね?
「ええ、そうね……防御魔法は幾つか唱えられるけど、基本的に持続時間は数分間が限度だわ。その度に掛けなおすのが前提になるわね」
「ミシディア、君のようにバリアをギルドで展開して、そのまま冒険に行くという光景は異例の事態と言えるだろう」
「そ、そうだったんですか……」
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「バリア以外にも、結界とかも展開していたんでしょう?」
「はい、そうですね……王国の各地を回って展開したりとか、宮殿の周囲に展開したりとか」
「なるほど……流石は聖女様ね……」
「いえ、そんなことは……」
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「はい……使えますけど」
回復魔法を使えるのは普通だと思う。おそらくは、ライズさんだって使えるはずだし……。
「バリアに結界……それほどのことが可能で、さらに回復魔法まで行使できるか。なるほど、天才の一人と言っても過言ではないだろうな」
「そうね、素晴らしいわ」
えっと……なんて答えればいいんだろう。レッドブラックの二人にこんなに褒めてもらえるなんて、誰が予想しただろうか? 私は夢じゃないかと、自然と頬をつねっていた。大丈夫、痛いから決して夢ではないわ。
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「それで? ミシディアは、ギルド内で仕事を続けるのかしら?」
「そうですね、しばらくはそうするつもりです」
身の振り方も定まっていない状況だし、それが一番良いと判断した。最終的には、自分の店なんかを持ちたいけれど……それはまた今度の話ね。
「なるほど……ならば、ギルドに来れば君に会えるわけか。俺たちもおそらくは利用させてもらうが、その時はよろしく頼む」
「はい、いつでも来てください。特別料金でお待ちしていますので!」
「ふふ、ありがとう。でも、あなた程の能力を受けられるなら、むしろ高めでも良いくらいよ? 今はサービス期間みたいだけれど、料金設定とかはちゃんとした方がいいわよ」
「なるほど……わかりました、参考にさせていただきます」
まさか料金設定の心配をされるとは思わなかったけど、良いアドバイスを貰えたと思う。
「それにしても……ミシディアほどの聖女を解雇して、プラティーン王国は大丈夫なのか?」
「そうね……それは心配だわ」
カインさんとライズさんは、なにやら王国の心配をしているようだった。でも、私の後釜は居るみたいだし、大丈夫だと思うけど……。
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