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5話 ギルドの聖女 その3
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「情けない話なんですが、聖女をクビになってしまいまして……」
身の上話を知り合ったばかりの二人にするのも情けないけれど、私はカインさんとライズさんに話すことにした。どうやら二人はオボンヌ宮殿にも出入りした経験があるようだから。冒険者の数は非常に多いけど、宮殿内に通された人は極少数なはずだし。
それに何より、この二人は信用に値する……追放されて、人間不信になりかけていた私でも、それだけは直感として確信していた。
「聖女の職務をクビに……君ほどの者がか?」
「プラティーン王国としては、随分と勿体ないことをしたわね……」
「ええと……グレス王子殿下に追放された形でして……」
グレス様の名前を出した瞬間、彼ら二人の態度が変わった。
「あのグレス王子か……!?」
「は、はい……そうです」
カインさんの豹変ぶりに私は驚いてしまった。なんだろう? 何か因縁でもあるのかな?
「なんとなく先は読めたわ。あのグレス王子殿下のことだから、薄汚い平民がどうたらと言って、強制的にあなたを解雇したんじゃない?」
「あはは……その通りです」
「やっぱりね」
カインさんとライズさんは分かり切っている様子だった。あれ? もしかして、グレス王子殿下の人間性って有名なのかな?
「グレス王子殿下の人間性って有名なんですか?」
「一部の間ではね。一応、私たちは冒険者チームのレッドブラックのメンバーだから、情報が入りやすいのよ」
「レッドブラック……」
確か二人組の最強クラスの冒険者チーム名……赤はライズさんの服装かな、黒は……カインさんの髪の色? いや、そんなことよりも……想像以上の冒険者チームだったことに、私は開いた口が塞がらなかった。
「どうしたの?」
「いえ……レッドブラックって、世間知らずの私でも知ってるくらいでしたので……」
立ち振る舞いから、相当な強者だとは思っていたけど……それを軽く超える衝撃ね。
「ふふ、ありがとう。国家任務を請け負っていた聖女様にそう言われると自信になるわね」
「いえ……私なんて、そんな……」
お世辞でもうれしい……そんな風に思っていたけど、カインさんが首を横に振りだした。
「いやいや、謙遜をする必要はないと思うぞ? あれほどのピンポイントバリアの展開……しかも、24時間続くのか、そんな芸当はライズでも出来ないからな」
「えっ、本当ですか?」
ライズさんは頷いている……嘘でしょ? ライズさんは見た目のセクシーさにも負けないくらいの高名な魔導士のはず。そんな彼女でも出来ない芸当だなんて……私って、もしかして凄いのかしら……?
身の上話を知り合ったばかりの二人にするのも情けないけれど、私はカインさんとライズさんに話すことにした。どうやら二人はオボンヌ宮殿にも出入りした経験があるようだから。冒険者の数は非常に多いけど、宮殿内に通された人は極少数なはずだし。
それに何より、この二人は信用に値する……追放されて、人間不信になりかけていた私でも、それだけは直感として確信していた。
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「ふふ、ありがとう。国家任務を請け負っていた聖女様にそう言われると自信になるわね」
「いえ……私なんて、そんな……」
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「えっ、本当ですか?」
ライズさんは頷いている……嘘でしょ? ライズさんは見た目のセクシーさにも負けないくらいの高名な魔導士のはず。そんな彼女でも出来ない芸当だなんて……私って、もしかして凄いのかしら……?
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