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4話 パーティー その2
しおりを挟む「リオン……まさか、このパーティーで会えるとは思っていなかったわ……」
本当に想いが叶うなんて……神様は本当に存在するのかもしれない。目の前に立っている人物は、最近公爵になった幼馴染のリオン・ウェンガッタだ。身分が違うから普通の言葉で話して良いのかは微妙だけれど。
「いや、本当はこのパーティーには参加する気はなかったんだが、もしかしたらシャーリーに会えるかも、と思っていたからな」
「えっ……?」
「君が事前に予約していることは知っていたから」
そ、それって……つまりは私に会いたかったっていうこと? ど、どうしよう……なんて答えれば良いんだろうか。
「あ、あの、リオン……その気持ちはとても嬉しいんだけど……いきなりそんな」
「ん? シャーリーはアクウィル殿に婚約破棄をされたと聞いていたが、普通に来れないかと考えていたんだ。良かったよ、こうして会えて。落ち込んでいないか心配していたからな」
「……ええと、つまりこのパーティーにリオンが居るのは……」
「ああ、婚約破棄の件で心配だったからだな」
「……」
いえ、とても嬉しいことだけれど、なんだかふらついてしまいそうだった。つまりは私のことが好きとか、そういうことではないのか。でも、心配で来てくれたということは、まだ可能性は残っているかな? ただ、思いっきり勘違いをしてしまったけれど……。
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「そうか……アクウィル殿は幼馴染との真実の愛に目覚めたから、婚約破棄をすると……」
「慰謝料を支払うからさっさと出て行けって感じだったわ……本当に最悪……」
「そうだな……確かに最悪だ、彼は……心中を察するよシャーリー、辛かっただろう?」
「ええ、ありがとう、リオン」
リオンだけは私の味方になってくれている……そんな気がしたけれど、おそらくこの直感は間違っていないはずだ。昔からの知り合いであるから彼の心は理解しているし、私に掛けてくれる言葉も本物だと理解することが出来る。
「アクウィル様の件も大変なんだけれど、お父様の件も大変で……」
「お父様と言うのは、クロース・ベルン伯爵のことか? 何かあったのか?」
「ええと……なんて言えば良いのか……」
しまった、アクウィル様の件とは違って家庭環境のことを言うのは難しいわ……特にパーティー会場で言うべきことではない。ベルン伯爵家の名前に泥を塗るわけにもいかないし。でも、リオンには知っていて貰いたい。
「ごめん、リオン。少し場所を変えない?」
「あ、ああ……構わないが」
「それでは少しだけ外へ出ましょう」
私はリオンを連れてパーティー会場から出て行った。
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