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41話 寂れた教会 その2
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「アーチェ姉さまの話を聞いて、ジョンという人物がネプト国王陛下だと分かり……全ての元凶はこの教会なのだと思っていました」
「フォルセ……」
「姉さまはニーナ嬢やウォーレス殿との結びつきが強くなったのもこの教会での出来事が原因だと言っていましたが、それはネプト国王陛下が正体を明かさなかった……ジョンが生きていることを、もっと前に知らせていれば、今回のような事態にはならなかったと思うのです」
フォルセの言っている意味は理解できる。おそらくは正論なのだろう。ネプト様も頷いているし……。
「フォルセ、あなたの言いたいことは分かるけれど……ネプト様の側室話とは直接は関係ないと思うのだけれど」
「直接関係はなくとも、私はどうしてもアーチェ姉さまをネプト国王陛下の側室にしたいとは思いません。不敬罪に問われるかもしれませんが、私はもっと姉さまには普通の幸せを満喫して欲しいのです」
「なるほど……それが、フォルセの本音というわけか」
「はい、ネプト国王陛下。国王陛下はどのように思っているのですか? 突然の告白もそうですが……スザンヌ様も愛しているのに、姉さまを一番に愛することは本当に出来るのですか?」
「ふむ、難しい質問だな。私の口から何を言っても、フォルセの疑念が晴れなさそうだ」
「そうですね……私は姉さまのことを愛しているのなら、姉さまを諦めて欲しいと心から思っていますので」
「フォルセ……」
これがフォルセの本音か……完全にネプト様に敵意を見せているようだった。私のことを想ってくれているのは間違いないだろう。だからこそ、国王陛下が相手でも臆することなく自分の意見をハッキリと述べているのだ。
「フォルセの気持ちは理解できた。確かに国王である私からの告白の場合、アーチェの方から断るのは難しいかもしれないからな」
「そうですね……私の見立てではアーチェ姉さまは、今回の告白を受けようと考えているかと思います。それは国王陛下から告白されたから了承するのではなく、ネプト様自体を愛しているからだと思いますが」
いつの間にか、フォルセには見抜かれていたみたいね……私は言葉を出すことが出来なかった。
「姉さまがネプト様の告白を受けるのは、この教会での思い出があるからでしょう。それ以外にも、7年間の交流もあるかとは思われますが……ネプト様がジョンであることを知った時の、姉さまの表情はとても嬉しそうでしたから」
「良く見ているのだな、フォルセ。本当に姉のことを大切に想っているようだ。私としてもとても嬉しいよ」
「ありがとうございます、ネプト様。そこで失礼を承知で申し上げますが……アーチェ姉さまのことを大切に想っているのはネプト様も同じはずです。大切に想われているのであれば……今回の告白はなしにていただけませんか? アーチェ姉さまにとって大切なのは、寂れた教会での出来事を完全に忘れることにあると思うので……」
「……」
ネプト様は即答しなかった。無言になっている……。どのような返答が返って来るのかは分からないけれど、私は完全に蚊帳の外に追いやられてるようだった。
「フォルセ……」
「姉さまはニーナ嬢やウォーレス殿との結びつきが強くなったのもこの教会での出来事が原因だと言っていましたが、それはネプト国王陛下が正体を明かさなかった……ジョンが生きていることを、もっと前に知らせていれば、今回のような事態にはならなかったと思うのです」
フォルセの言っている意味は理解できる。おそらくは正論なのだろう。ネプト様も頷いているし……。
「フォルセ、あなたの言いたいことは分かるけれど……ネプト様の側室話とは直接は関係ないと思うのだけれど」
「直接関係はなくとも、私はどうしてもアーチェ姉さまをネプト国王陛下の側室にしたいとは思いません。不敬罪に問われるかもしれませんが、私はもっと姉さまには普通の幸せを満喫して欲しいのです」
「なるほど……それが、フォルセの本音というわけか」
「はい、ネプト国王陛下。国王陛下はどのように思っているのですか? 突然の告白もそうですが……スザンヌ様も愛しているのに、姉さまを一番に愛することは本当に出来るのですか?」
「ふむ、難しい質問だな。私の口から何を言っても、フォルセの疑念が晴れなさそうだ」
「そうですね……私は姉さまのことを愛しているのなら、姉さまを諦めて欲しいと心から思っていますので」
「フォルセ……」
これがフォルセの本音か……完全にネプト様に敵意を見せているようだった。私のことを想ってくれているのは間違いないだろう。だからこそ、国王陛下が相手でも臆することなく自分の意見をハッキリと述べているのだ。
「フォルセの気持ちは理解できた。確かに国王である私からの告白の場合、アーチェの方から断るのは難しいかもしれないからな」
「そうですね……私の見立てではアーチェ姉さまは、今回の告白を受けようと考えているかと思います。それは国王陛下から告白されたから了承するのではなく、ネプト様自体を愛しているからだと思いますが」
いつの間にか、フォルセには見抜かれていたみたいね……私は言葉を出すことが出来なかった。
「姉さまがネプト様の告白を受けるのは、この教会での思い出があるからでしょう。それ以外にも、7年間の交流もあるかとは思われますが……ネプト様がジョンであることを知った時の、姉さまの表情はとても嬉しそうでしたから」
「良く見ているのだな、フォルセ。本当に姉のことを大切に想っているようだ。私としてもとても嬉しいよ」
「ありがとうございます、ネプト様。そこで失礼を承知で申し上げますが……アーチェ姉さまのことを大切に想っているのはネプト様も同じはずです。大切に想われているのであれば……今回の告白はなしにていただけませんか? アーチェ姉さまにとって大切なのは、寂れた教会での出来事を完全に忘れることにあると思うので……」
「……」
ネプト様は即答しなかった。無言になっている……。どのような返答が返って来るのかは分からないけれど、私は完全に蚊帳の外に追いやられてるようだった。
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