幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?

ルイス

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36話 本音を話し合う その1

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「嫉妬……でしょうか?」

「ええ、嫉妬ね。あのネプトにここまで……7年間も想われていたのは、嫉妬の対象になってしまうわ。7年間の恋が実った……そういう感じかしらね」

「申し訳ございません……」


 おそらく、スザンヌ様は私の謝罪を求めてはいないだろう。それでも私は謝罪をしてしまっていた。傍から見れば、私は二人の仲を引き裂くお邪魔虫でしかないからだ。7年の月日……どうしてその間、ネプト様はジョンだと言ってくれなかったのか。

 いえ、それ以上になぜ、私に告白をしてくれなかったのか……不思議でならない。このことはまだ、ネプト様本人にも聞いていないことだった。

「ねえ、アーチェ嬢」

「はい、なんでしょうか?」

「アーチェ嬢と呼ぶのはなんだか変な感じもするし……これからは、アーチェと呼んでも良いかしら?」

「それは……はい、もちろんです」

「ありがとう、あなたも私のことをスザンヌと呼んでくれて良いわよ」

「いえ、それは流石に……」

「それもそうかしらね。まあ、自由に呼んでくれて良いわ」


 流石に王妃様であり、年齢も上のスザンヌ様を呼び捨てには出来ない。幼馴染でもないのだし……。


「アーチェ、あなたの考えていることを当ててあげましょうか?」

「えっ? どういうことでしょうか……?」

「ネプトに関して色々と考えているでしょう? なぜ、今頃になって告白をしてきたのとか」

「それは……はい、そうですね……」

「ふふふ、やっぱりね」


 スザンヌ様は得意気に私を見ていた。そんなに顔に出ていたかしら?


「彼も色々と大変だったのよ。前国王陛下である、父親が大怪我を負ってしまって国王の仕事が出来なくなったから……」

「あ、それは確かに……」


 前国王陛下であるバット様は、現在でもお元気ではあるけれど、車椅子の生活をされている。まあ、つまりは国王陛下としてネプト様が若くして即位されたのはそういう理由があるわけで……。そういう事態がなければ、ネプト様も私への告白をもう少しちゃんとした場面でしてくれたのかもしれないわね。

「私は……自分のことしか考えていないですね……」

「あら、いいじゃないそれでも。あなたくらいの年齢だと仕方ないと思うわ」

「スザンヌ様……ありがとうございます」

「ふふ、なんだかあなたとは仲良くなれそうな気がするわ。もしも、あなたの返答……つまり、ネプトの側室になっても良いという答えなのだとしたら、私は全力でサポートするから安心して頂戴」

「スザンヌ様……」

 スザンヌ様は嬉しいことを言ってくれた。もしかしたら、ニーナ達との関係が切れて寂しさが出ていたのかもしれないけれど、私は嬉しくなってしまった。彼女とであれば上手くやれる……そんな気がしてならなかったのだ。


「失礼ながら、申し上げます。スザンヌ様」

「ウィンスタート? どうかしたの?」

「……?」

 先程までは無言だったスザンヌ様の護衛兼執事の方……影のように気配を消していたけれど、ここに来て言葉を放ったのだった。私としても突然のことで驚いてしまう。

「スザンヌ様は本当によろしいのですか? ネプト国王陛下のことを愛していらっしゃるのでしょう? 私は……誠に失礼ながら、スザンヌ様には本音を話して欲しいと考えております」

「ウィンスタート……」


 あれ、どういうこと……? 上手く話しが纏まりそうだったのに……。ウィンスタートという人の言葉で急に雰囲気が変わってしまったような気がする。
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