29 / 60
29話 幼馴染という関係ですらない
しおりを挟む
「う、嘘よ……! アーチェが、私のアーチェが裏切るなんて! そんなこと、絶対にあるはずがないわ!」
ニーナの喚き具合はある意味で異様だった。私やお父様やフォルセ、ウォーレスまで見ている中でこんなに情けない姿をさらけ出すなんて。何よりも、ネプト国王陛下が見ている前で……。
「ニーナ……いい加減、罪を認めておとなしくして。あなたが素直に罪を認めるのであれば、もしかしたらネプト様も穏便に済ませてくれるかもしれないわよ?」
あり得ないとは思うけれど、とりあえずニーナを落ち着かせる為に適当に言ってみた。
「アーチェ……! 嘘よね? 私に重い罪を望んでいるなんて! 私が今まであなたにどれだけ優しくしてきたか、分かっているのでしょう!?」
なんだか話が重複しているような気がする……ニーナはどこまで話が進んでいるのか、理解できていないのかもしれない。とにかく、もう一度話す必要があるわね。彼女は今、混乱しているわ……。
「今まで仲良くしてくれたことには感謝しているわ。ただし、それは私のことを自分の都合の良いように利用する為なのでしょう?」
「そ、それは……!!」
「ジョンを陥れようとした段階で、ニーナは言い訳なんて出来ない立場なのよ? その後の私への仕打ちは、例え騙そうとしていた意思があったとしても罪に問われることはないと思うわ。私自身は失望したけれどね」
ニーナもウォーレスも、私の言葉に顔面蒼白になっていた。そんなに失望したというのがショックだったのかしら? 普通はそうなると思うけれど……。
「ま、待ってくれよ、アーチェ……私のことは許してくれるんだろう? だって、私はニーナの罪に全く関与はしていないんだから……!」
「ウォーレス、私達は婚約解消をしているでしょう? それに何か勘違いしていない?」
「か、勘違い……?」
ウォーレスは謝罪さえすれば、今まで通り普通の幼馴染の関係を継続できると考えているようだ。ニーナももしかしたら同じような考えを持っているのかもしれない。
「私達の関係は今はもう、完全に他人同士よ。二度と幼馴染なんて名乗らないで。虫唾が走ってしまうから……」
「アーチェ……! 酷いわ!」
「そんな! アーチェ……!」
非常に取り乱した様子を見せる二人だったけれど、私はハッキリと言ってやった。ネプト様の方向を見ると、小さくガッツポーズをしているのが見えた。「よく言った!」と思ってくれているのかもしれないわね。
お父様やフォルセも満足そうな笑顔を見せていたし……ニーナとウォーレスの味方をする人が誰一人居ないのは、なんだか面白かった。
ニーナの喚き具合はある意味で異様だった。私やお父様やフォルセ、ウォーレスまで見ている中でこんなに情けない姿をさらけ出すなんて。何よりも、ネプト国王陛下が見ている前で……。
「ニーナ……いい加減、罪を認めておとなしくして。あなたが素直に罪を認めるのであれば、もしかしたらネプト様も穏便に済ませてくれるかもしれないわよ?」
あり得ないとは思うけれど、とりあえずニーナを落ち着かせる為に適当に言ってみた。
「アーチェ……! 嘘よね? 私に重い罪を望んでいるなんて! 私が今まであなたにどれだけ優しくしてきたか、分かっているのでしょう!?」
なんだか話が重複しているような気がする……ニーナはどこまで話が進んでいるのか、理解できていないのかもしれない。とにかく、もう一度話す必要があるわね。彼女は今、混乱しているわ……。
「今まで仲良くしてくれたことには感謝しているわ。ただし、それは私のことを自分の都合の良いように利用する為なのでしょう?」
「そ、それは……!!」
「ジョンを陥れようとした段階で、ニーナは言い訳なんて出来ない立場なのよ? その後の私への仕打ちは、例え騙そうとしていた意思があったとしても罪に問われることはないと思うわ。私自身は失望したけれどね」
ニーナもウォーレスも、私の言葉に顔面蒼白になっていた。そんなに失望したというのがショックだったのかしら? 普通はそうなると思うけれど……。
「ま、待ってくれよ、アーチェ……私のことは許してくれるんだろう? だって、私はニーナの罪に全く関与はしていないんだから……!」
「ウォーレス、私達は婚約解消をしているでしょう? それに何か勘違いしていない?」
「か、勘違い……?」
ウォーレスは謝罪さえすれば、今まで通り普通の幼馴染の関係を継続できると考えているようだ。ニーナももしかしたら同じような考えを持っているのかもしれない。
「私達の関係は今はもう、完全に他人同士よ。二度と幼馴染なんて名乗らないで。虫唾が走ってしまうから……」
「アーチェ……! 酷いわ!」
「そんな! アーチェ……!」
非常に取り乱した様子を見せる二人だったけれど、私はハッキリと言ってやった。ネプト様の方向を見ると、小さくガッツポーズをしているのが見えた。「よく言った!」と思ってくれているのかもしれないわね。
お父様やフォルセも満足そうな笑顔を見せていたし……ニーナとウォーレスの味方をする人が誰一人居ないのは、なんだか面白かった。
107
お気に入りに追加
3,625
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】
佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。
異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。
幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。
その事実を1番隣でいつも見ていた。
一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。
25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。
これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。
何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは…
完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

婚約者から婚約破棄をされて喜んだのに、どうも様子がおかしい
棗
恋愛
婚約者には初恋の人がいる。
王太子リエトの婚約者ベルティーナ=アンナローロ公爵令嬢は、呼び出された先で婚約破棄を告げられた。婚約者の隣には、家族や婚約者が常に可愛いと口にする従妹がいて。次の婚約者は従妹になると。
待ちに待った婚約破棄を喜んでいると思われる訳にもいかず、冷静に、でも笑顔は忘れずに二人の幸せを願ってあっさりと従者と部屋を出た。
婚約破棄をされた件で父に勘当されるか、何処かの貴族の後妻にされるか待っていても一向に婚約破棄の話をされない。また、婚約破棄をしたのに何故か王太子から呼び出しの声が掛かる。
従者を連れてさっさと家を出たいべルティーナと従者のせいで拗らせまくったリエトの話。
※なろうさんにも公開しています。
※短編→長編に変更しました(2023.7.19)

10年もあなたに尽くしたのに婚約破棄ですか?
水空 葵
恋愛
伯爵令嬢のソフィア・キーグレスは6歳の時から10年間、婚約者のケヴィン・パールレスに尽くしてきた。
けれど、その努力を裏切るかのように、彼の隣には公爵令嬢が寄り添うようになっていて、婚約破棄を提案されてしまう。
悪夢はそれで終わらなかった。
ケヴィンの隣にいた公爵令嬢から数々の嫌がらせをされるようになってしまう。
嵌められてしまった。
その事実に気付いたソフィアは身の安全のため、そして復讐のために行動を始めて……。
裏切られてしまった令嬢が幸せを掴むまでのお話。
※他サイト様でも公開中です。
2023/03/09 HOT2位になりました。ありがとうございます。
本編完結済み。番外編を不定期で更新中です。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる