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2話 弟と舞踏会へ
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アーチェ・ノーム伯爵令嬢と、ウォーレス・ミリエーター伯爵令息の婚約解消の噂は貴族の間で噂されるようになっていた。私は舞踏会に出席していたのだけれど、周囲の何名かは私を見ながらヒソヒソと囁いている。
あの婚約破棄の日から10日程度……国民の間では噂話は75日は続くとか言われているから、まだまだかかりそうね。
「姉上……ウォーレス様との婚約解消は非常に残念かと思われますが、気持ちの切り替えも重要かと存じます」
「フォルセ……そう言って貰えると励みになるわ。ありがとう」
「いえ、勿体ないお言葉でございます」
私と一緒に舞踏会に出席しているのは私より1つ年下の弟であるフォルセ・ノーム伯爵令息だ。今年で16歳になる。二枚目と武術の能力の高さで、貴族令嬢に人気があったりする。先ほども声を掛けられていたしね。
「私の心配をしてくれるのは有り難いけれど、あなたはあなたでお嫁さん候補を見つけなさいよ?」
「それは分かっております。しかし……自分程度では、なかなか女性を振り向かせることが叶わず……」
「……」
どの口が言っているのだろうか……この弟は朴念仁と言っても良いくらいに、恋愛方面では察しが悪い。謙虚なことは魅力でもあるんだけれど……時にはトラブルの原因になるかもしれないわけで……。
「自分もアーチェ姉さまのように、異性に困らない人柄というものを身に付けたいものです」
「あのね、フォルセ……誰が異性に困らないって?」
私は信頼していた幼馴染のウォーレスと婚約解消をしたばかりだ……とても異性に困らない生活が出来ているとは思えない。まったく、この弟は……自分が先ほども何名かの貴族令嬢に声を掛けられたことを忘れているのね。そう考えると、さっきの貴族令嬢数名は可哀想に思えてしまう……。
「あなたは知らないところで敵を作らないようにね」
「姉さま……?」
フォルセは意味が分からないといったような表情をしていたけれど、とりあえず私の意見は話したから良しとしようかな。
「それにしても……フォルセ」
「はい、なんでしょうか? 姉さま」
「あなたが気分転換に、と連れて来てくれた舞踏会だけれど……」
フォルセはこの舞踏会への参加を頑なに推奨していた。私も最初は断っていたけれど、弟のあまりの頼みに私も折れるしかなかったのだ。見たところ普通の舞踏会と変わりないように思える……なんでフォルセはあんなに推奨していたのか。
「あ……それは、ええと……」
「フォルセがあそこまで推奨してくるなんて、普段ならあり得ないわよね? 何かあると踏んではいたのだけれど……」
「ええとですね……実は……」
フォルセはあからさまに言いにくそうにしていた。彼はその直後に舞踏会場の入り口付近を指差していた。私もそちらの方向に視線を合わせるけれど……。なんとそこには、信じられない人の姿が。
「嘘……あれって、ネプト・マクスレイ国王陛下!?」
「ええ、そのまさかです……」
あまりのサプライズに舞踏会に参加していた全ての貴族がざわついていた。当たり前だ、いきなり国の最高権力者が姿を現したのだから。しかも、ネプト国王陛下は私にとってはそれだけの人物ではなかった。
「どうですか、姉さま……少し、元気になりませんか?」
「ま、まあ……そうかもしれないわね……でも、いきなり過ぎて……」
ネプト国王陛下は現在、22歳という若さだ。私とはその……昔馴染みのような関係性があったりする。それだけに私の心臓の高鳴りは一段と増していた。
あの婚約破棄の日から10日程度……国民の間では噂話は75日は続くとか言われているから、まだまだかかりそうね。
「姉上……ウォーレス様との婚約解消は非常に残念かと思われますが、気持ちの切り替えも重要かと存じます」
「フォルセ……そう言って貰えると励みになるわ。ありがとう」
「いえ、勿体ないお言葉でございます」
私と一緒に舞踏会に出席しているのは私より1つ年下の弟であるフォルセ・ノーム伯爵令息だ。今年で16歳になる。二枚目と武術の能力の高さで、貴族令嬢に人気があったりする。先ほども声を掛けられていたしね。
「私の心配をしてくれるのは有り難いけれど、あなたはあなたでお嫁さん候補を見つけなさいよ?」
「それは分かっております。しかし……自分程度では、なかなか女性を振り向かせることが叶わず……」
「……」
どの口が言っているのだろうか……この弟は朴念仁と言っても良いくらいに、恋愛方面では察しが悪い。謙虚なことは魅力でもあるんだけれど……時にはトラブルの原因になるかもしれないわけで……。
「自分もアーチェ姉さまのように、異性に困らない人柄というものを身に付けたいものです」
「あのね、フォルセ……誰が異性に困らないって?」
私は信頼していた幼馴染のウォーレスと婚約解消をしたばかりだ……とても異性に困らない生活が出来ているとは思えない。まったく、この弟は……自分が先ほども何名かの貴族令嬢に声を掛けられたことを忘れているのね。そう考えると、さっきの貴族令嬢数名は可哀想に思えてしまう……。
「あなたは知らないところで敵を作らないようにね」
「姉さま……?」
フォルセは意味が分からないといったような表情をしていたけれど、とりあえず私の意見は話したから良しとしようかな。
「それにしても……フォルセ」
「はい、なんでしょうか? 姉さま」
「あなたが気分転換に、と連れて来てくれた舞踏会だけれど……」
フォルセはこの舞踏会への参加を頑なに推奨していた。私も最初は断っていたけれど、弟のあまりの頼みに私も折れるしかなかったのだ。見たところ普通の舞踏会と変わりないように思える……なんでフォルセはあんなに推奨していたのか。
「あ……それは、ええと……」
「フォルセがあそこまで推奨してくるなんて、普段ならあり得ないわよね? 何かあると踏んではいたのだけれど……」
「ええとですね……実は……」
フォルセはあからさまに言いにくそうにしていた。彼はその直後に舞踏会場の入り口付近を指差していた。私もそちらの方向に視線を合わせるけれど……。なんとそこには、信じられない人の姿が。
「嘘……あれって、ネプト・マクスレイ国王陛下!?」
「ええ、そのまさかです……」
あまりのサプライズに舞踏会に参加していた全ての貴族がざわついていた。当たり前だ、いきなり国の最高権力者が姿を現したのだから。しかも、ネプト国王陛下は私にとってはそれだけの人物ではなかった。
「どうですか、姉さま……少し、元気になりませんか?」
「ま、まあ……そうかもしれないわね……でも、いきなり過ぎて……」
ネプト国王陛下は現在、22歳という若さだ。私とはその……昔馴染みのような関係性があったりする。それだけに私の心臓の高鳴りは一段と増していた。
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