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4話 アグリットとの再会 その1
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「このお肉、美味しいですね。ダリオ様」
「そうですね、アーシェラ嬢。この国では比較的珍しいクジラの肉になりますね」
少し固いけれど、クジラの肉はとても美味しかった。これも、今回のパーティー開催に当たっての料理長の腕なのだと思う。私が話をしている相手はダリオ・ジーパース公爵令息だ。
以前のパーティーで、ジーパース公爵と知り合ってから、その後に、ご子息であるダリオ様を紹介してもらった。
彼と知り合ってからまだそれほど時間は経っていないけれど、こうして二人でパーティーに参加するくらいの仲にはなっている。付き合っているとかそういうことではないけれど、第一印象がお互いに悪くなかったからこうして一緒に居るのでしょうね。
「今回のパーティーは、かなり規模が小さいのですね」
「そうですね。今回は貴族のちょっとした息抜きのようなパーティーのようですからね」
「なるほど……そうなんですね」
パーティーの規模自体は小さいけれど、パーティー会場はなんと宮殿内だ。王太子殿下が主催しているので、規模は小さいとはいえ、並べられている料理の質は相当なものだった。珍しいクジラの肉が出ているのも頷ける。
「アーシェラ嬢、少しお元気になられたように見受けられますが……如何でございますか?」
「そうですね、ジーパース公爵やダリオ様のおかげで、良い気分転換をさせていただいていると思います」
「それなら何よりでございます、アーシェラ嬢」
ダリオ様は私の婚約破棄の件を聞いて、気分転換としてパーティーに誘ってくれたのだ。クジラの肉も食べれたし、本当に良い気分転換になっていると思う。彼にはとても感謝していた。
「おや、王太子殿下がお越しになったようだ」
「あら、本当ですわね」
「すみません、アーシェラ嬢。少々、王太子殿下の下へ行ってまいります」
「畏まりました、私はここでお待ちしております」
「ありがとうございます」
そこまで言うと、ダリオ様は軽く礼をして足早に去って行った。公爵令息という立場だけに……色々と大変そうね。私はその場に残ってクジラの肉の残りを頬張っていた。
「さて、どうしようかしら……」
暇になってしまった。どうしようか悩んでいると……。
「アーシェラ、か?」
「えっ……?」
突然、背後から私を呼ぶ声が聞こえて来た。待って、この声の主は……。
「アグリット様……」
どうしてこんなところに? と考えるのは些細な問題だった……私は今、一番会いたくない人に会ってしまったのだから、そちらの方が問題なのだ。婚約破棄の思い出がフラッシュバックしそうになっていた……。
「そうですね、アーシェラ嬢。この国では比較的珍しいクジラの肉になりますね」
少し固いけれど、クジラの肉はとても美味しかった。これも、今回のパーティー開催に当たっての料理長の腕なのだと思う。私が話をしている相手はダリオ・ジーパース公爵令息だ。
以前のパーティーで、ジーパース公爵と知り合ってから、その後に、ご子息であるダリオ様を紹介してもらった。
彼と知り合ってからまだそれほど時間は経っていないけれど、こうして二人でパーティーに参加するくらいの仲にはなっている。付き合っているとかそういうことではないけれど、第一印象がお互いに悪くなかったからこうして一緒に居るのでしょうね。
「今回のパーティーは、かなり規模が小さいのですね」
「そうですね。今回は貴族のちょっとした息抜きのようなパーティーのようですからね」
「なるほど……そうなんですね」
パーティーの規模自体は小さいけれど、パーティー会場はなんと宮殿内だ。王太子殿下が主催しているので、規模は小さいとはいえ、並べられている料理の質は相当なものだった。珍しいクジラの肉が出ているのも頷ける。
「アーシェラ嬢、少しお元気になられたように見受けられますが……如何でございますか?」
「そうですね、ジーパース公爵やダリオ様のおかげで、良い気分転換をさせていただいていると思います」
「それなら何よりでございます、アーシェラ嬢」
ダリオ様は私の婚約破棄の件を聞いて、気分転換としてパーティーに誘ってくれたのだ。クジラの肉も食べれたし、本当に良い気分転換になっていると思う。彼にはとても感謝していた。
「おや、王太子殿下がお越しになったようだ」
「あら、本当ですわね」
「すみません、アーシェラ嬢。少々、王太子殿下の下へ行ってまいります」
「畏まりました、私はここでお待ちしております」
「ありがとうございます」
そこまで言うと、ダリオ様は軽く礼をして足早に去って行った。公爵令息という立場だけに……色々と大変そうね。私はその場に残ってクジラの肉の残りを頬張っていた。
「さて、どうしようかしら……」
暇になってしまった。どうしようか悩んでいると……。
「アーシェラ、か?」
「えっ……?」
突然、背後から私を呼ぶ声が聞こえて来た。待って、この声の主は……。
「アグリット様……」
どうしてこんなところに? と考えるのは些細な問題だった……私は今、一番会いたくない人に会ってしまったのだから、そちらの方が問題なのだ。婚約破棄の思い出がフラッシュバックしそうになっていた……。
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