婚約破棄されたのに、元婚約者が溺愛してきます!

ルイス

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2話 元気になれるように

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「アーシェラ、そこまで無理をして出席する必要はないのだぞ? 大丈夫なのか?」

「お父様……お気遣いありがとうございます。ですが、気分転換にもなりますので……」

「そうであれば良いのだが……」


 アグリット様との婚約破棄の後、私はお父様と共にとあるパーティーに出席していた。気持ちの問題で言えば、まだまだ出席出来る状態ではなかったけれど、いつまでもお父様達に心配を掛けるわけにはいかなかったからだ。

 私はスミット家の次女だし、期待されていた侯爵令息との婚約がなくなってしまったのだから。


「これはこれは、スミット伯爵。ご無沙汰しております」

「ご無沙汰しております、ジーパース公爵。本日は晴天に恵まれ、パーティー日和といったところでしょうか」

「ははは、そうかもしれませんな。本日はご令嬢もご一緒ですか?」

「ジーパース公爵。初めまして。ケネス・スミットの娘、アーシェラと申します」


 私は挨拶にやって来たジーパース公爵に挨拶をした。公爵家ということもあり、相当な権力を持っているお方だ。聞くところによると、お父様とは旧知の仲ということらしいけど……。だからジーパース公爵の方から挨拶に来てくれたのね。

「ええ、今回はアーシェラも一緒ということになります。色々とあったものですから」

「左様でございましたか……お話はお伺いしております。お辛かったでしょうな」

「いえ、ジーパース公爵……決してそのようなことは……」


 もちろん嘘ではあるけれど、私は自然と強がっていた。パーティー会場で弱さを見せたくはなかったからだ。それにしても……やはりというか、私とアグリット様との婚約破棄については知られているようね。少なくともジーパース公爵には。

「こうして会えたのも何かの縁かもしれませんな、アーシェラ嬢」

「左様でございますね、ジーパース公爵。とても、光栄なことでございます」

「ふふふ、今度は私も息子を連れて参ります。その時は話し相手として、こき使ってやってください」

「いえ、こき使うだなんて……」


 ジーパース公爵の冗談は、伯爵令嬢の私ではとても笑えないものだった。公爵令息様をこき使う勇気は私にはないと思う……なんて返せば良いのか思いつかないわ。

「アーシェラ嬢が少しでも元気なられれば良いと私は思っておりますよ。こうしてお会いするのは初めてですが、あなたのご記憶にないであろう時に、私はあなた方姉妹をみておりますからね」

「そうだったのですか……?」

「ええ。そういう意味ではあなたには元気になっていただきたい」

「あ、ありがとうございます……ジーパース公爵……」


 ジーパース公爵は私のことを元気付けてくれているのね。今度、ご子息を連れて来るといったのも、その延長線上のことなのだろう。家族以外にも、知らないところで心配を掛けてしまっていたようね。

 一刻も早く元気になれるように努力しなくちゃ。
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