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4話 忍び寄る その1
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「……と、いうわけなのよ」
「な、なんと……情報に出ていないところでは、そんなことが起きていたのか」
「ええ、そういうことになるわね」
クインスに婚約破棄の真相を話した私。婚約破棄を申し出たのは私の方だけれど、きっかけを作ったのはリーガス・ドルアット侯爵令息の方だ。私の再三によるお願いを全て拒否し続けていたのだから、自業自得でしかないと言えるだろう。
リーガス様は最後まで婚約破棄については否定的だったようだけれど……。
「シルファが我慢の限界になったのは、リーガス様の浮気が原因だったんだな」
「そうね、本当に何回していたのか分からないほどだわ」
「それ程の回数だったのか……」
クインスは私に同情的な視線を送ってくれていた。1回や2回ではないのが最大の理由になっているわね。
「婚約破棄の手続きについては、フィメール伯爵が行っているのかい?」
「そうね、お父様が代わりに行ってくれているわ。慰謝料も発生しないようにすると言っていたけれど」
本来は婚約破棄の場合は、行った側に慰謝料発生の義務が生じる。しかし、今回の場合は相手側に非があるので、慰謝料の発生はしないという判断だ。実際にどうなるのかは分からないけれど、私だってリーガス様に慰謝料を支払いたくはないからね。
「お父様に迷惑を掛けてしまっているわ……」
「そんなことはないんじゃないか? フィメール伯爵はシルファのことを可愛がっているだろう? きっと迷惑だなんて思ってないさ」
「それなら良いんだけど」
お父様の本心はともかくとして、婚約破棄の手続きなどを任せてしまっているのは確かだ。余計な作業を強いてしまっているのだから、私も早く元気にならないといけないわね。それがお父様達に対する恩返しになるだろうし。
-------------------------
リーガス・ドルアット侯爵令息視点……。
「シルファ……なぜ、出て行ってしまったのか……まさかこんなことが……」
「こう言ってはなんだが、リーガス。お前の自業自得というやつだな」
「ち、父上……」
私室のソファに座っている父上が私に睨みを利かせていた。今回の婚約破棄の件について、私は叱責を受けていたのだ。
「お前の行動は我がドルアット侯爵家の看板に泥を塗ったのだ。これは許されることではないぞ?」
「申し訳ありませんでした、父上……」
「リーガス……随分と憔悴しているようだな」
父上は叱責とは言っても、憔悴している私を見てかなり手加減しているようだった。私も父上の言葉が耳をすり抜けているのを実感している。シルファに婚約破棄を宣言されたことが、ここまで応えるなんてな。
このままでは駄目だ……なんとかしなければ。私が納得できる結果は……。
「な、なんと……情報に出ていないところでは、そんなことが起きていたのか」
「ええ、そういうことになるわね」
クインスに婚約破棄の真相を話した私。婚約破棄を申し出たのは私の方だけれど、きっかけを作ったのはリーガス・ドルアット侯爵令息の方だ。私の再三によるお願いを全て拒否し続けていたのだから、自業自得でしかないと言えるだろう。
リーガス様は最後まで婚約破棄については否定的だったようだけれど……。
「シルファが我慢の限界になったのは、リーガス様の浮気が原因だったんだな」
「そうね、本当に何回していたのか分からないほどだわ」
「それ程の回数だったのか……」
クインスは私に同情的な視線を送ってくれていた。1回や2回ではないのが最大の理由になっているわね。
「婚約破棄の手続きについては、フィメール伯爵が行っているのかい?」
「そうね、お父様が代わりに行ってくれているわ。慰謝料も発生しないようにすると言っていたけれど」
本来は婚約破棄の場合は、行った側に慰謝料発生の義務が生じる。しかし、今回の場合は相手側に非があるので、慰謝料の発生はしないという判断だ。実際にどうなるのかは分からないけれど、私だってリーガス様に慰謝料を支払いたくはないからね。
「お父様に迷惑を掛けてしまっているわ……」
「そんなことはないんじゃないか? フィメール伯爵はシルファのことを可愛がっているだろう? きっと迷惑だなんて思ってないさ」
「それなら良いんだけど」
お父様の本心はともかくとして、婚約破棄の手続きなどを任せてしまっているのは確かだ。余計な作業を強いてしまっているのだから、私も早く元気にならないといけないわね。それがお父様達に対する恩返しになるだろうし。
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リーガス・ドルアット侯爵令息視点……。
「シルファ……なぜ、出て行ってしまったのか……まさかこんなことが……」
「こう言ってはなんだが、リーガス。お前の自業自得というやつだな」
「ち、父上……」
私室のソファに座っている父上が私に睨みを利かせていた。今回の婚約破棄の件について、私は叱責を受けていたのだ。
「お前の行動は我がドルアット侯爵家の看板に泥を塗ったのだ。これは許されることではないぞ?」
「申し訳ありませんでした、父上……」
「リーガス……随分と憔悴しているようだな」
父上は叱責とは言っても、憔悴している私を見てかなり手加減しているようだった。私も父上の言葉が耳をすり抜けているのを実感している。シルファに婚約破棄を宣言されたことが、ここまで応えるなんてな。
このままでは駄目だ……なんとかしなければ。私が納得できる結果は……。
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