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57話 エドモンドの演説 その2
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「時は満ちた……この言葉をまさか、使う日がくるとは思いませんでした……」
壇上に上がっているエドモンド様は大袈裟な身振りを繰り返しながら、話し始めていた。拡声器で声が増幅されているのもあって、彼の話を真剣に聞いている人々の数は多い。
それもそのはず……公爵自身がこのような演説をするのは稀だからだ。
「私はオルカスト王国の公爵という立場にあります……それはすなわち、国王陛下や王太子殿下を始めとした王族の方々の忠実なる家臣ということになります。しかし……」
結論をなかなか言わずに焦らす作戦に出ている……明らかに国民の注目を集める演出だった。ある意味では、間の置き方など参考になるのかもしれない。
「しかし私は苦渋の決断をしなければならない……」
「エドモンド殿! 苦渋の決断とは一体なんなのですか!? あなた程の人物が一体どんな決断を……!?」
「エドモンド様、お聞かせください!!」
「エドモンド様あぁぁぁぁぁ!」
急に不自然とも取れる大歓声が鳴り響いた。
「一体、なんなの……?」
「どうやら貴族達が騒ぎ始めているみたいだな」
国民達は特に騒いでいる様子はないけれど、これみよがしに、貴族達が騒いでいた。それらの声に動揺している人々も目立つ。
「おそらくは、エドモンド・デューイの思想に共感している者達だろう。こうもたやすく炙り出せるとはな」
「つまりはサクラ……?」
「ああ、おそらくはその通りだろう」
国民の感情を扇動するかのように、貴族達が騒ぎだす。それに応えるようにエドモンド様が演説を続けることで、より効果を増大させる狙いといったところかしら。相変わらず信じられないことをするわね……ビクティム侯爵の一件も信じられなかったけれど、今回の件はそれ以上だ。
「おほん、静粛に……。私が皆様に伝えたいこと……苦渋の決断とは、フューリ王太子殿下の不貞疑惑にあります!」
「な、なんと……王太子殿下の不貞疑惑!?」
「ど、どういうことだ……!?」
ここで初めて、先ほどまでは静かだった国民達が騒ぎ始めた。先ほどの扇動は上手くいったと言えると思う。細かい演出だけれど……すべてエドモンド様の筋書き通りなのね。
「そういえば聞いたことがあるぞ! フューリ王太子殿下はレオーネ伯爵令嬢と、婚約していないにも関わらず貴族街でデートをしていた、と!」
「なんだと! そんなことが……!? ああ、見ろ……あそこに居るのは当人達じゃないのか……!?」
「わざとらしい……」
「まったくだ。国民はともかく、騒いでいた貴族とは何度か目が合っていたしな」
扇動している貴族達に私達の存在をアピールされてしまった。一斉に国民達の視線が降り注がれる。ちょっとだけ、まずい状況かもしれない……不信感を持たれているような気がしたから。
壇上に上がっているエドモンド様は大袈裟な身振りを繰り返しながら、話し始めていた。拡声器で声が増幅されているのもあって、彼の話を真剣に聞いている人々の数は多い。
それもそのはず……公爵自身がこのような演説をするのは稀だからだ。
「私はオルカスト王国の公爵という立場にあります……それはすなわち、国王陛下や王太子殿下を始めとした王族の方々の忠実なる家臣ということになります。しかし……」
結論をなかなか言わずに焦らす作戦に出ている……明らかに国民の注目を集める演出だった。ある意味では、間の置き方など参考になるのかもしれない。
「しかし私は苦渋の決断をしなければならない……」
「エドモンド殿! 苦渋の決断とは一体なんなのですか!? あなた程の人物が一体どんな決断を……!?」
「エドモンド様、お聞かせください!!」
「エドモンド様あぁぁぁぁぁ!」
急に不自然とも取れる大歓声が鳴り響いた。
「一体、なんなの……?」
「どうやら貴族達が騒ぎ始めているみたいだな」
国民達は特に騒いでいる様子はないけれど、これみよがしに、貴族達が騒いでいた。それらの声に動揺している人々も目立つ。
「おそらくは、エドモンド・デューイの思想に共感している者達だろう。こうもたやすく炙り出せるとはな」
「つまりはサクラ……?」
「ああ、おそらくはその通りだろう」
国民の感情を扇動するかのように、貴族達が騒ぎだす。それに応えるようにエドモンド様が演説を続けることで、より効果を増大させる狙いといったところかしら。相変わらず信じられないことをするわね……ビクティム侯爵の一件も信じられなかったけれど、今回の件はそれ以上だ。
「おほん、静粛に……。私が皆様に伝えたいこと……苦渋の決断とは、フューリ王太子殿下の不貞疑惑にあります!」
「な、なんと……王太子殿下の不貞疑惑!?」
「ど、どういうことだ……!?」
ここで初めて、先ほどまでは静かだった国民達が騒ぎ始めた。先ほどの扇動は上手くいったと言えると思う。細かい演出だけれど……すべてエドモンド様の筋書き通りなのね。
「そういえば聞いたことがあるぞ! フューリ王太子殿下はレオーネ伯爵令嬢と、婚約していないにも関わらず貴族街でデートをしていた、と!」
「なんだと! そんなことが……!? ああ、見ろ……あそこに居るのは当人達じゃないのか……!?」
「わざとらしい……」
「まったくだ。国民はともかく、騒いでいた貴族とは何度か目が合っていたしな」
扇動している貴族達に私達の存在をアピールされてしまった。一斉に国民達の視線が降り注がれる。ちょっとだけ、まずい状況かもしれない……不信感を持たれているような気がしたから。
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