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4話 昼食の場にて その2

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「で、デルタ様……」

「ああ、デルタ・バレットだ。ははははは、アンジェリカ嬢と姉妹仲良く昼食に来たのかな?」


 私が今、話している相手は本当に元婚約者のデルタ・バレット侯爵なのだろうか? 心の中で自問自答してしまうほどに、私は混乱していた。


「き、奇遇ですね……」

「そうだな、フラウ。これも運命なのかもしれないな。はははははっ」


 気味が悪いほどにでデルタ様は明るかった。何か良いことがあったんだろうか? 自分の管理している土地で新たな金鉱脈やダイヤモンド鉱山が発見されたとか?

「とにかく、立ち話もなんだし……座りましょうか、フラウ」

「そ、そうですね……アンジェリカ姉さま……」

 私はアンジェリカ姉さまのおかげで、かろうじて正気を保つことが出来ていた。私一人だったら、おそらくは逃げ出していたに違いないから……。



-------------------------



 適当な料理を注文し、私達はデルタ様と相まみえることになった。ちなみに私はパスタを注文している。姉様はサラダとハムトーストだ。ヘルシーね……私もそっちにすれば良かったかもしれない。

「それで……ええと、どこまで話したかな?」

「いえ、何も重要な話なんてしていませんよ。単に昼食で一緒になっただけでしょう?」

「ああ、そうだったな。相変わらずの突っ込み、懐かしいよ」

「……」


 なんだか人格が変わったのかとすら思えてくる……こんな雰囲気のデルタ様は今まで見たことがない。婚約当初でも威圧感を出していたはずなのに……どういうこと?

「デルタ様、こういうことを言うのは、侯爵様に対して失礼だとは思うのですが……」

「ああ、アンジェリカ嬢。遠慮なく言ってもらって構わないぞ。どうしたのかな?」

「それでは申し上げます。貴方様は身勝手に妹のフラウと婚約破棄をした身であることをお忘れなのですか? 一体、どういうつもりなのです?」

 直球だった……アンジェリカ姉さまは非常に怒っている。それはありがたいのだけれど、あまりにもストレートにデルタ様に自分の気持ちを伝えたようだった。これが吉と出るか凶と出るか……。

「そのことか、まあ……私としても、フラウには申し訳ないことをしたな、とは思っているよ」


 デルタ様の回答はとても普通だった。普通なのが悪いわけじゃないけれど、あまりにも罪を感じていないような、そんな軽さが垣間見える回答だったのだ。私はそんな彼の回答になんて答えればいいんだろうか……?

 そんなことを考えていた矢先、ふとアンジェリカ姉さまを見ると、怒りの形相になっていた。
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