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7話 秘密の第二王女殿下 その1
しおりを挟む(ブンド・マルカール侯爵視点)
「ブンド様、少々よろしいでしょうか?」
「どうかしたのか、アイオロス」
その日、執事のアイオロスが私の部屋を訪ねて来た。いつものことではあるので、大して気にはしていなかったが、その表情が何やらおかしい気がする。どうしたと言うのだ……?
「ブンド様にお伝えしたいことがございまして……」
「一体、なんだ?」
「はい、実は王家であるバスティン家からパーティーの誘いがございました」
「なんだと、バスティン家からだと……?」
バスティン家はアイオロスの言う通り、王族の家系になる。まさか、そんな家から直々にパーティーの誘いがあるとは……これは、宮殿で開かれる催し物に参加できると言う意味か。とても名誉なことだ。
「アイオロス、1つ聞いておきたいのだけれど……」
「はい、如何なさいましたでしょうか、ルーザ様?」
「その催し物だけれど、王家の方からはどなたが出席されるの?」
同じく私の部屋に居たルーザが、アイオロスに質問をした。王族側の出席者などそんなに気になるのか? よく分からんな……。
「確定しているわけではございませんが、フィルア第一王女様やレノム第四王子殿下は出席されるようです。それから……」
「それから? どうかしたの?」
「これはハッキリしない情報なのですが、遠縁の第二王女殿下も出席なさるようでございます」
「第二王女殿下……?」
私とルーザは同時に首を傾げてしまった。第二王女殿下だと? 第一王女殿下のフィルア様は有名なお方だが、第二王女殿下など初めて聞いたぞ。遠縁とは言え、そんな人物が存在していたとは……。
「第二王女殿下の名前は分かっているの?」
「それは分かりません。非公開……というよりは、まだ、参加されるかどうかも確定ではないようですので」
「そう……」
ルーザはやけに心配している様子だな。
「ルーザ、何をそんなに心配しているんだ? 大丈夫か?」
「ブンド様……は、はい。私は大丈夫です……」
「そうか。なら構わないのだが」
ルーザとは逆に私は楽しみであるがな。王家が秘密にしている存在のお披露目を兼ねてのパーティーということだろうし。その第二王女殿下とやらとここでお近づきになっておけば、我がマルカール家にとっても良い方向に進むというものだろう。
他の貴族も同じことを考えるだろうからな……何としても先を越さねばなるまい。これはある意味で、王族に近づくための試練なのかもしれないな。
ヘルグ国王陛下はもしかしたら、第二王女殿下を担ぎ上げる貴族を募集しているのかもしれないな。来るべき王位継承争いに備えて。ふふふ、では私がその第一人者になってやるとするか。急にやる気が出て来たぞ。
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