【ポーション製造】のスキルを持っていたけど、パーティ追放された件~薬屋経営することにし、高名な冒険者も来てくれました~

ルイス

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22話 パートナー その2

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「そういうことだから……私がアキサエルに戻ることはないわ。残念だったわね」


 私は変な期待を持たせるのも悪いかと思い、はっきりと言ってみせた。普通であれば、これで終わるはずなんだけれど……。


「そ、そんな冷たいこと言わないでよ……! やっぱり、リーシャが居ないとさ……ほら、家事とかの面でも大変だしさ……!」


「そ、そうだぜ……! 暇な時でもいいんで、なんとかアキサエルに戻って来てくれないか?」


 ミカエラとキリングは完全に手のひらを返した発言をしている。彼らの言葉を聞く限り、後方支援だけじゃなくて、通常の生活にも支障が出ているみたいね……。まあ、彼らは身の回りのことも私に頼り切りだったしね。普通に考えれば、当然のことなんだけれど……。


 呆れを通り越して、苦笑いすら出て来る状況だけれど、この状況でも、カシムの態度だけは違った。


「ミカエラ、キリング……てめぇら、それでもアキサエルのメンバーか? 追放した人間に寄り添いやがって……」


 この中で一番まともなことを言っているのカシム。なんだかとても、複雑な気分だわ……追放した張本人に感心する日がくるなんてね。


「で、でも……このままだと、私たちのパーティは……!」

「リーシャに頼む必要なんざねぇよ……能力は落ちても、似たような後方支援薬が居ないわけでもねぇしな」


「……」


 腐ってもアキサエルのリーダーってところかしら? 冷静に状況に合わせた行動は取れるみたいね。


「てめぇは……エルドと言ったな?」

「ああ、そうだが……?」


 カシムとエルドの二人は、以前と同じように視線を交錯させている。タイミングがズレれば戦闘にすらなりそうな雰囲気だけれど……。


「ふん……せいぜい、パートナーを大切にするんだな……!」

「言われなくてもそうするさ。君もそういうことが言えるなら、今後は気を付けるようにね」


「……ふん」


 あれ? なんだろうこれは……予想外というわけではないけれど、なんだか想像よりも綺麗に収束したような……。


「リーシャ」

「な、何……!?」


 そんな時、いきなりカシムから声を掛けられる。私はビックリして声が上ずっていましていた。


「良いパートナーに巡り合えたみたいだな。てめぇもしっかりな……」

「わ、分かってるわよ……!」


「……ふん」


 カシムはぶっきら棒にそう言うと、ミカエラとキリングの二人を連れて、お店から出て行った。なにこれ……最後はなんか格好良かったし……。


「リーシャ、とりあえずは食事の続きをしようか?」

「そ、そうね……」


 私はエルドに促されて、席に付くことにした。一体、さっきまでの騒動はなんだったのかしら……。


「アキサエルのメンバー……少なくとも、リーダーであるカシムはそこまで腐った人物ではないようだ」

「そうかもしれませんね……」


 ……私を追放した張本人ではあるんだけれど。さきほどの態度を見る限り、カシムも少し見直すところがあるのかもしれない……私はそれがとても悔しかった。
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