21 / 27
21話 パートナー その1
しおりを挟む
「あんたら、いい加減にしてよ!!」
隣の言い争いに我慢できず、私はとうとう立ち上がり叫んでしまった。流石のカシムたちも私がここに居たことは想定外だったのか、表情を固まらせていた……。エルドもやれやれ、といった表情を見せて、私と一緒に立ち上がってくれる。
なんだか、そのしぐさがとても心強く、嬉しかった。
「リーシャ……お前、こんなところで何を……!?」
カシムが問いかけて来たけれど、見てわからないかしら? パスタ屋さんに来ているんだから、食事に決まってるでしょ? あんた達のように、ここは喧嘩する場所じゃないの。
「見てわかるでしょ? 食事よ、食事」
「エルド・マーカスも一緒か……!」
カシムはエルドの顔を見て、大きく舌打ちしていた。以前にも言い争いになっていて、劣勢だったから、余計に腹立たしいって感じかしら?
「さっきから聞いていると、私をアキサエルに戻すよう頼めだの……ミカエラ、キリング? 流石に身勝手な言い分過ぎないかしら?」
私のことを見下して追放したっていうのに……いきなり手のひらを返すかのような主張に私は我慢ならなかった。これではまだ、追放した張本人のカシムの方がマシと言える。カシムは劣勢になっても、私を元に戻すなんて考えてないだろうから……きっと、プライドが許さないはず。
「で、でもね……あんたが居ないと不味いっていうのが、わかったのよ……。なんとか戻って来てよ、ね?」
「ああ……頼むぜ、リーシャ……!」
プライドがないのか、ミカエラとキリングの二人は完全に手のひらを返している。呆れてものも言えないとは、まさにこんな状態を言うんでしょうね……。私は二人を無視して、カシムに視線を合わせた。
「まさか、あんたまで手のひら返しなんて、しないわよね?」
「あたりめぇだろうが……誰が、てめぇなんざに土下座して頼み込むかよ……」
「それを聞いて安心したわ。本当にアキサエルのことを蔑むところだったから……」
良心の欠片が残っていたようで、私は安心する。この場合での良心っていうのは、追放した相手をピンチになったからって、簡単に戻そうなんて考えない人物の存在のことだけど。それが、私を追放したカシム本人になるとはね。
「私は戻る気なんてないし、ほら……エルドとパートナーを組むことにもなったから」
「な、なに……?」
そう言いながら、私はエルドを見た。彼もそれに合わせて口を開く。
「ついさっきではあるが……私とリーシャは冒険者パーティを組むことにした。パーティというよりはタッグといった方が良いのかもしれないが」
アキサエルのメンバーに対しての言葉だけど、彼ら3人は茫然としていた……何を考えているのかは予測できないわね。
隣の言い争いに我慢できず、私はとうとう立ち上がり叫んでしまった。流石のカシムたちも私がここに居たことは想定外だったのか、表情を固まらせていた……。エルドもやれやれ、といった表情を見せて、私と一緒に立ち上がってくれる。
なんだか、そのしぐさがとても心強く、嬉しかった。
「リーシャ……お前、こんなところで何を……!?」
カシムが問いかけて来たけれど、見てわからないかしら? パスタ屋さんに来ているんだから、食事に決まってるでしょ? あんた達のように、ここは喧嘩する場所じゃないの。
「見てわかるでしょ? 食事よ、食事」
「エルド・マーカスも一緒か……!」
カシムはエルドの顔を見て、大きく舌打ちしていた。以前にも言い争いになっていて、劣勢だったから、余計に腹立たしいって感じかしら?
「さっきから聞いていると、私をアキサエルに戻すよう頼めだの……ミカエラ、キリング? 流石に身勝手な言い分過ぎないかしら?」
私のことを見下して追放したっていうのに……いきなり手のひらを返すかのような主張に私は我慢ならなかった。これではまだ、追放した張本人のカシムの方がマシと言える。カシムは劣勢になっても、私を元に戻すなんて考えてないだろうから……きっと、プライドが許さないはず。
「で、でもね……あんたが居ないと不味いっていうのが、わかったのよ……。なんとか戻って来てよ、ね?」
「ああ……頼むぜ、リーシャ……!」
プライドがないのか、ミカエラとキリングの二人は完全に手のひらを返している。呆れてものも言えないとは、まさにこんな状態を言うんでしょうね……。私は二人を無視して、カシムに視線を合わせた。
「まさか、あんたまで手のひら返しなんて、しないわよね?」
「あたりめぇだろうが……誰が、てめぇなんざに土下座して頼み込むかよ……」
「それを聞いて安心したわ。本当にアキサエルのことを蔑むところだったから……」
良心の欠片が残っていたようで、私は安心する。この場合での良心っていうのは、追放した相手をピンチになったからって、簡単に戻そうなんて考えない人物の存在のことだけど。それが、私を追放したカシム本人になるとはね。
「私は戻る気なんてないし、ほら……エルドとパートナーを組むことにもなったから」
「な、なに……?」
そう言いながら、私はエルドを見た。彼もそれに合わせて口を開く。
「ついさっきではあるが……私とリーシャは冒険者パーティを組むことにした。パーティというよりはタッグといった方が良いのかもしれないが」
アキサエルのメンバーに対しての言葉だけど、彼ら3人は茫然としていた……何を考えているのかは予測できないわね。
0
お気に入りに追加
3,303
あなたにおすすめの小説


冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

お妃様に魔力を奪われ城から追い出された魔法使いですが…愚か者達と縁が切れて幸せです。
coco
恋愛
妃に逆恨みされ、魔力を奪われ城から追い出された魔法使いの私。
でも…それによって愚か者達と縁が切れ、私は清々してます─!

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。
なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。
追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。
優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。
誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、
リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。
全てを知り、死を考えた彼女であったが、
とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。
後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

「お前を愛することはない」と言った夫がざまぁされて、イケメンの弟君に変わっていました!?
kieiku
恋愛
「お前を愛することはない。私が愛するのはただひとり、あの女神のようなルシャータだけだ。たとえお前がどんな汚らわしい手段を取ろうと、この私の心も体も、」
「そこまでです、兄上」
「なっ!?」
初夜の場だったはずですが、なんだか演劇のようなことが始まってしまいました。私、いつ演劇場に来たのでしょうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる