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17話 エルドとの食事 その1
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「……」
「大丈夫か、リーシャ? 顔色が優れないようだが……」
「あ、い、いえ……大丈夫ですよ、あはは!」
せっかくのエルドからの食事の誘いだったし、私は店を閉めてから行くことにしたんだけれど。やっぱり、ハイポーションを連続精製したツケは、私の精神のみならず、足腰にも疲労という形で襲い掛かっていた。
エルドは既に私の不調に気付いているみたいだけど、死んでも迷惑なんて掛けられないわ。彼だって冒険者活動で忙しいはずなんだし、この機会を逃すと、次はいつになるか分からないし。
私は自分のの中で、知らぬ間にエルドの優先順位が高くなっていることを自覚していた。深く考えると顔が熱くなるから、今は無視しておこう……。
まあ、デートってわけじゃないし……知り合い同士の食事だし。うん、食事、食事……。
「よし、今日はここにしておこうか」
「ここは……」
ボイドさんの酒場や私の露店からも近い場所にある、パスタのお店だった。軽食店ではないけれど、私の体調を考えて、近い場所にしてくれたのね。
「なんだか、気を遣わせてしまってすみません……」
「ははっ、この程度、気を遣った範疇にも入らないよ。私としては、その体調で食事をOKしてくれたことに感謝しているんだから」
「あ、いえ……」
うん、まあ……相手がエルドだからOKしましたっていうのは流石に言えない。そんなこと言ったら、とんでもない雰囲気になりそうだから……。
私達はとりあえず、その店に入って行った。
-----------------------------------------------
「では、ミートソースとボンゴレを1つずつで。あとはサラダを2つお願いします。それから、飲み物は……」
店に入ってからも私の体調は回復はしなかった。いえ、エルドに出会ってから回復したつもりではあったんだけど、やっぱり気合いでどうにかなるタイプの疲労ではなかったみたい。気合いでなんとかなるなら、エンドレスでポーション製造できるってことになるしね……。
「しかし……」
「はい、なんでしょうか?」
私が必死に体調の悪さを表に出さないようにしているのを見て、エルドはニコニコと笑っていた。なにかおかしなことをしたかしら?
「最初の印象からも、想像は出来ていたが……君はなかなか頑張る人だな」
「あ……」
エルドからの言葉は普通のそれだとは思うんだけど……なんだか、とても恥ずかしくなってしまった。
「ポーションの製造やハイポーションの製造……いくら、スキルで行えるといっても、精神力の消費は大きいだろう? 女性にはハードルが高いとは思うが」
「まあ、そうかもしれないですね……」
「今だって、ダンジョン攻略した直後の疲労感に苛まれているんじゃないのかい?」
う……流石は高名冒険者……見抜かれているわ。あ~あ、もっとか弱い女の子演じたいんだけどな……やっぱり、根本的に合っていないのかしら?
「か弱い少女……私には似合いませんかね?」
「似合うかどうかは分からないが。まあ、私も君も冒険者だしな、頑張っているリーシャはとても魅力的に映っているよ」
あ、ちょっと泣きそうかも……私ってこんなに涙腺緩かったっけ?
「エルドさん……じゃなかった。エルド、でいいのよね?」
「ああ、ようやく普通に話してくれるのかな?」
「ま、まあ……まだ慣れないけれど。よ、よろしく……」
「こちらこそ」
その後はお互い手を前に出し、固く握手を交わした。余計な言葉は必要なく、絆が強くなったのはエルドも感じていると思う。
さて、このまま料理が来ればベストタイミングなんだけどな。そう思っていた時、新しいお客さんが入って来たみたい。
「げっ……!」
「あれは、アキサエルのメンバーか……」
会いたくない時に出て来るわね本当に……! 今回はフルメンバーでの参戦みたい。私は自然とため息をついてしまったけれど、なんだか様子が変ね、なにかあったのかしら……?
「大丈夫か、リーシャ? 顔色が優れないようだが……」
「あ、い、いえ……大丈夫ですよ、あはは!」
せっかくのエルドからの食事の誘いだったし、私は店を閉めてから行くことにしたんだけれど。やっぱり、ハイポーションを連続精製したツケは、私の精神のみならず、足腰にも疲労という形で襲い掛かっていた。
エルドは既に私の不調に気付いているみたいだけど、死んでも迷惑なんて掛けられないわ。彼だって冒険者活動で忙しいはずなんだし、この機会を逃すと、次はいつになるか分からないし。
私は自分のの中で、知らぬ間にエルドの優先順位が高くなっていることを自覚していた。深く考えると顔が熱くなるから、今は無視しておこう……。
まあ、デートってわけじゃないし……知り合い同士の食事だし。うん、食事、食事……。
「よし、今日はここにしておこうか」
「ここは……」
ボイドさんの酒場や私の露店からも近い場所にある、パスタのお店だった。軽食店ではないけれど、私の体調を考えて、近い場所にしてくれたのね。
「なんだか、気を遣わせてしまってすみません……」
「ははっ、この程度、気を遣った範疇にも入らないよ。私としては、その体調で食事をOKしてくれたことに感謝しているんだから」
「あ、いえ……」
うん、まあ……相手がエルドだからOKしましたっていうのは流石に言えない。そんなこと言ったら、とんでもない雰囲気になりそうだから……。
私達はとりあえず、その店に入って行った。
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「では、ミートソースとボンゴレを1つずつで。あとはサラダを2つお願いします。それから、飲み物は……」
店に入ってからも私の体調は回復はしなかった。いえ、エルドに出会ってから回復したつもりではあったんだけど、やっぱり気合いでどうにかなるタイプの疲労ではなかったみたい。気合いでなんとかなるなら、エンドレスでポーション製造できるってことになるしね……。
「しかし……」
「はい、なんでしょうか?」
私が必死に体調の悪さを表に出さないようにしているのを見て、エルドはニコニコと笑っていた。なにかおかしなことをしたかしら?
「最初の印象からも、想像は出来ていたが……君はなかなか頑張る人だな」
「あ……」
エルドからの言葉は普通のそれだとは思うんだけど……なんだか、とても恥ずかしくなってしまった。
「ポーションの製造やハイポーションの製造……いくら、スキルで行えるといっても、精神力の消費は大きいだろう? 女性にはハードルが高いとは思うが」
「まあ、そうかもしれないですね……」
「今だって、ダンジョン攻略した直後の疲労感に苛まれているんじゃないのかい?」
う……流石は高名冒険者……見抜かれているわ。あ~あ、もっとか弱い女の子演じたいんだけどな……やっぱり、根本的に合っていないのかしら?
「か弱い少女……私には似合いませんかね?」
「似合うかどうかは分からないが。まあ、私も君も冒険者だしな、頑張っているリーシャはとても魅力的に映っているよ」
あ、ちょっと泣きそうかも……私ってこんなに涙腺緩かったっけ?
「エルドさん……じゃなかった。エルド、でいいのよね?」
「ああ、ようやく普通に話してくれるのかな?」
「ま、まあ……まだ慣れないけれど。よ、よろしく……」
「こちらこそ」
その後はお互い手を前に出し、固く握手を交わした。余計な言葉は必要なく、絆が強くなったのはエルドも感じていると思う。
さて、このまま料理が来ればベストタイミングなんだけどな。そう思っていた時、新しいお客さんが入って来たみたい。
「げっ……!」
「あれは、アキサエルのメンバーか……」
会いたくない時に出て来るわね本当に……! 今回はフルメンバーでの参戦みたい。私は自然とため息をついてしまったけれど、なんだか様子が変ね、なにかあったのかしら……?
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