14 / 27
14話 スキルパワーアップ その1
しおりを挟む
「う~ん、すごい……」
「なにが凄いの?」
本日は晴天なり。私が露店の椅子に座りながら頭を抱えていると、斜め向かいの回復魔法露店商の主、エミリアが顔を出してきた。それも遠慮なんて一切なく……。
「何が凄いのよ、リーシャ?」
「あのね、エミリア……私達は商売敵じゃなかったっけ?」
普通に話しかけてくる彼女に、私は質問をしてみた。しかし、彼女は全く意に介している様子はない。
「確かにそうね、私達は商売敵よ。私の回復魔法はなかなか評判もいいのよ。知らないかもしれないけど」
「いえ、知ってるわよ」
こんなに目の前に店を構えられたら、嫌でも評価は耳に入ってくる。エミリアの回復魔法は怪我や病の治療だけでなく、状態異常の治療も可能にしているとか。彼女のところまで行く必要はあるけど、彼女自身の愛らしい姿や性格も相まって、評判は良いみたいね。
「私が言いたいのはそういうところよ。商売の部分を除けば、私達は同年代の友人になれるでしょう?」
「恥ずかしいことをハッキリと言わないでよ……まあ、確かにあなたの言う通りかもしれないわね」
「なら、商売敵&友人ってことにしましょう」
「なんか、とんでもなく歪な関係ね……まあ、いいわ、よろしくね」
「ええ、こちらこそ」
友人……か。そう言えば私、同年代の友達って居なかったわね。前のパーティには、あっさりと見限られたんだし。17歳の回復魔導士エミリア……田舎から出て来て、初めてと言える友達が出来ましたとさ。
---------------------------------------
「それで? さっき唸っていたのは、どういうことだったの?」
「ああ、あれはね……」
それから、話題は最初に戻った。私が唸っていた理由……それは、ポーションの精製についてだ。この前、エルドに特別製のポーションを用意しますとか言っちゃったからかしら? 明らかにスキルがパワーアップしている感覚が芽生えている。
「今まで私は、普通のポーションしか作ることは出来なかった……でも、今は……」
「リーシャ……?」
私は頭に思い浮かんだ確信を自らの手に集中させてみる……瞬く間に、そのイメージは具現化されていく。そう、確かにそんな感覚が全身を巡っていた。これが、スキルのパワーアップというものだろうか?
私がイメージを集中させた手のひら……そこには、今までのポーションとは明らかに違う上位のポーション。ハイポーションが生み出されていた、綺麗な小瓶もセットで。
驚きはもちろんあったけど、それ以上に確信が勝っている感じだった。私のスキルは一段階レベルアップしたということになる。ていうか、この小瓶だけでも売れそうなくらい綺麗ね……。
「なにが凄いの?」
本日は晴天なり。私が露店の椅子に座りながら頭を抱えていると、斜め向かいの回復魔法露店商の主、エミリアが顔を出してきた。それも遠慮なんて一切なく……。
「何が凄いのよ、リーシャ?」
「あのね、エミリア……私達は商売敵じゃなかったっけ?」
普通に話しかけてくる彼女に、私は質問をしてみた。しかし、彼女は全く意に介している様子はない。
「確かにそうね、私達は商売敵よ。私の回復魔法はなかなか評判もいいのよ。知らないかもしれないけど」
「いえ、知ってるわよ」
こんなに目の前に店を構えられたら、嫌でも評価は耳に入ってくる。エミリアの回復魔法は怪我や病の治療だけでなく、状態異常の治療も可能にしているとか。彼女のところまで行く必要はあるけど、彼女自身の愛らしい姿や性格も相まって、評判は良いみたいね。
「私が言いたいのはそういうところよ。商売の部分を除けば、私達は同年代の友人になれるでしょう?」
「恥ずかしいことをハッキリと言わないでよ……まあ、確かにあなたの言う通りかもしれないわね」
「なら、商売敵&友人ってことにしましょう」
「なんか、とんでもなく歪な関係ね……まあ、いいわ、よろしくね」
「ええ、こちらこそ」
友人……か。そう言えば私、同年代の友達って居なかったわね。前のパーティには、あっさりと見限られたんだし。17歳の回復魔導士エミリア……田舎から出て来て、初めてと言える友達が出来ましたとさ。
---------------------------------------
「それで? さっき唸っていたのは、どういうことだったの?」
「ああ、あれはね……」
それから、話題は最初に戻った。私が唸っていた理由……それは、ポーションの精製についてだ。この前、エルドに特別製のポーションを用意しますとか言っちゃったからかしら? 明らかにスキルがパワーアップしている感覚が芽生えている。
「今まで私は、普通のポーションしか作ることは出来なかった……でも、今は……」
「リーシャ……?」
私は頭に思い浮かんだ確信を自らの手に集中させてみる……瞬く間に、そのイメージは具現化されていく。そう、確かにそんな感覚が全身を巡っていた。これが、スキルのパワーアップというものだろうか?
私がイメージを集中させた手のひら……そこには、今までのポーションとは明らかに違う上位のポーション。ハイポーションが生み出されていた、綺麗な小瓶もセットで。
驚きはもちろんあったけど、それ以上に確信が勝っている感じだった。私のスキルは一段階レベルアップしたということになる。ていうか、この小瓶だけでも売れそうなくらい綺麗ね……。
0
お気に入りに追加
3,303
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

貴族令嬢ですがいじめっ子たちが王子様からの溺愛を受けたことが無いのは驚きでした!
朱之ユク
恋愛
貴族令嬢スカーレットはクラスメイトのイジメっ子たちから目をつけられていた。
理由はその美しい容姿だった。道行く人すべてがスカーレットに振り返るほどの美貌を持ち、多くの人間が彼女に一目ぼれする容姿を持っていた。
だから、彼女はイジメにあっていたのだ。
しかし、スカーレットは知ってしまう。
クラスメイトのイジメっ子はこの国の王子様に溺愛を受けたことが無いのだ。
スカーレットからすれば当たり前の光景。婚約者に愛されるなど当然のことだった。
だから、スカーレットは可哀そうな彼女たちを許すことにしました。だって、あまりにみじめなんだから。

世にも平和な物語
越知 学
恋愛
これは現実と空想の境界ラインに立つ140字物語。
何でもありの空想上の恋愛でさえ現実主義が抜けていない私は、その境界を仁王立ちで跨いでいる。
ありふれていそうで、どこか現実味に欠けているデジャブのような感覚をお届けします。

守護神の加護がもらえなかったので追放されたけど、実は寵愛持ちでした。神様が付いて来たけど、私にはどうにも出来ません。どうか皆様お幸せに!
蒼衣翼
恋愛
千璃(センリ)は、古い巫女の家系の娘で、国の守護神と共に生きる運命を言い聞かされて育った。
しかし、本来なら加護を授かるはずの十四の誕生日に、千璃には加護の兆候が現れず、一族から追放されてしまう。
だがそれは、千璃が幼い頃、そうとは知らぬまま、神の寵愛を約束されていたからだった。
国から追放された千璃に、守護神フォスフォラスは求愛し、へスペラスと改名した後に、人化して共に旅立つことに。
一方、守護神の消えた故国は、全ての加護を失い。衰退の一途を辿ることになるのだった。
※カクヨムさまにも投稿しています

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。
りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。
伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。
それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。
でも知りませんよ。
私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!

婚約者の不倫相手は妹で?
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる