【ポーション製造】のスキルを持っていたけど、パーティ追放された件~薬屋経営することにし、高名な冒険者も来てくれました~

ルイス

文字の大きさ
上 下
11 / 27

11話 嫌な奴がやってきた その1

しおりを挟む
「おいおいおい、噂には聞いていたけどよ、こんな所で露店の仕事かよ? リーシャ」

「カシム……」

 エルドが私の前に立っていることなどお構いもせずに、私に顔を近づけて来るカシム。その背後にはミカエラの姿もあった。

「きゃはははは! 私たちの腰巾着でそこそこの生活送れていたのに、今は大変そうね? 露店商だなんて……雨の時とか、稼ぎがまったくないんじゃない?」

 馬鹿笑いをしているのは、攻撃専門の魔導士ミカエラ。相変わらず憎たらしい表情で、私を見下しているみたい。確かに雨の日は大変だけれど、これでもそこそこ儲かってるんだからね?


「……」

 エルドはお客さんの立場を考慮しているのか、無言でカシム達を見ているみたい。その真意はわからないけれど。


「お前が俺と付き合ってその身体を差し出していれば、こんなことにはならなかったのにな? なあ、ミカエラ?」

「本当ね~~。ホント、あんたは馬鹿だわ、馬鹿以外の何者でもないくらいに」

 それぞれ言いたいことを言い終えると、大笑いをし始める二人。流石に馬鹿にし過ぎじゃないかしら? 本当に今までの私の努力はなんだったんだろうって思える……こんな連中の為に、ポーション製造や料理、家事をしていたなんて……。

「なるほど……これが、アキサエルか」

「エルドさん……?」

 その時、、無言を貫いていたエルドが言葉を発した。心なしか怒っているようにも感じられるけど……。

「ん? なに、こいつ? ただの客じゃないの?」

「どこかで見たことがあるな……お前」

 ミカエラと違って、カシムはエルドの顔に見覚えがあるようだった。そりゃ、エルド・マーカスっていったら、カシム達の「アキサエル」よりも有名な冒険者だし、知っていても不思議ではないけれど。

「申し遅れたな、カシム殿。私の名前はエルド・マーカスだ、例え相手が誰であろうとも自己紹介を欠くのは失礼だからな」

「エルド・マーカスだと……ああ、あの単独で冒険者活動をしているって噂の命知らずか」

 カシムはエルドの名前を聞いたところで、特に怯んでいる様子はなかった。それどころか、単独冒険者であるという事実をバカにしているようにも感じられる。この男って、人の揚げ足を取ることに命でも懸けているのかしら? 本当に気分が悪いわ……。

「キャハハハハ、冒険者活動はチームプレイが最重要だってことを、知らない素人なんじゃないの? 単独行動の冒険者って異名が気持ちよくなっちゃったとか?」

 カシムだけでなく、ミカエラも大笑いを開始した。流石にこれは見ていられないわ……私が反論をしようとしたところ、エルドは冷静に口を開いた。

「それは、そっくりそのままお返しするよ……彼女を追い出したツケはいずれ、大きく返って来るだろう。それも追放した理由が理由だしね」

「ああっ? なんだてめぇは? 喧嘩でも売ってるのかよ?」


 エルドの冷静で皮肉な発言は、沸点の低いカシムを怒らせるには十分だった。なんだか面白い流れになって来たわね……。

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

王子の呪術を解除したら婚約破棄されましたが、また呪われた話。聞く?

十条沙良
恋愛
呪いを解いた途端に用済みだと婚約破棄されたんだって。ヒドクない?

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。

なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。 追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。 優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。 誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、 リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。 全てを知り、死を考えた彼女であったが、 とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。 後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

お妃様に魔力を奪われ城から追い出された魔法使いですが…愚か者達と縁が切れて幸せです。

coco
恋愛
妃に逆恨みされ、魔力を奪われ城から追い出された魔法使いの私。 でも…それによって愚か者達と縁が切れ、私は清々してます─!

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」

まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05 仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。 私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。 王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。 冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。 本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

「お前を愛することはない」と言った夫がざまぁされて、イケメンの弟君に変わっていました!?

kieiku
恋愛
「お前を愛することはない。私が愛するのはただひとり、あの女神のようなルシャータだけだ。たとえお前がどんな汚らわしい手段を取ろうと、この私の心も体も、」 「そこまでです、兄上」 「なっ!?」 初夜の場だったはずですが、なんだか演劇のようなことが始まってしまいました。私、いつ演劇場に来たのでしょうか。

処理中です...