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9話 ライバル露店商 その2
しおりを挟む「なかなか、元気な嬢ちゃんだな」
ボイドさんは笑いながらエミリアを見ていた。私と同年代と思われる彼女は、自信家の高飛車なイメージを持っている気がする。私のお店の向かい側に回復魔法の露店を設置するのだとしたら、商売上のライバルになる相手よね。
「エミリアって言ったっけ。何歳なの?」
「私は17歳よ、リーシャっていうのよね? あなたは?」
「私は18歳だけれど……」
自信家なエミリアは、私が歳上だと知っても態度を変える気はないようだった。まあ、私としても堅苦しいのは苦手だし、それはいいんだけれど……。
「エミリア……用件はなにかしら?」
「あら、随分と余裕みたいね。私は回復魔法の店を、あなたの店の目の前に立てることにしたのよ? 商売敵って感じよね」
「確かに、そうかもしれないけれど……あなたは、回復魔法を使える魔導士ってわけ?」
「ええ、そのとおりね。あなたのお店、ポーション販売で結構、儲けているみたいだけれど、私の店が目の前に立った以上はそうはいかないわ。覚悟しておくことね」
それだけ言うと、彼女はその場から去って行った。私と同じ金髪の髪だったけれど、ショートカットが特徴の女の子。服装もホットパンツだったりと、一般的な回復魔導士とは違う印象ね、ボーイッシュというか。普通の回復魔導士はロングスカートで露出はほとんどないイメージだし。
「あの娘、宣戦布告に来たんだろうな」
「宣戦布告……確かに、凄い挨拶だったわね。私の返事なんて無視するように去って行ったし」
なかなかインパクトが強かったわ……エミリア、か。個人的には嫌いではないけれど、ああいう子。でも、商売敵になるなら、全力で対応しなければならないわよね!
「ボイドさん……回復魔法の使い手のお店と正面からやり合う場合、不味いことってなにかしら?」
とりあえずボイドさんの意見を参考にしてみようかしら。ライバルが居なければ急ぐ必要もなかったんだけれど、エミリアの店が出て来た以上は急ぐ必要が出て来たわね。
「そうだな……相手はその場での回復がメイン。こっちはポーションの販売……まあ、棲み分けは出来ているとは思うが……」
確かにそうよね……エミリアの方は、あくまでも医者の役割を果たすところなんだし。とりあえず、エミリアのお店の繁盛具合を確認していくのがいいかしら? 慌てて行動しても空回りするだけかもしれないしね。
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