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8話 ライバル露店商 その1
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「おっす、どうだ? 最近は?」
「あ、ボイドさん」
時間は昼を迎え、ぼちぼち「リーシャポーション」の閉店時間になりつつあった。そんな時に、飲み物の差し入れを持って来てくれたのはボイドさんね。酒場の方も昼休みに入っているのか、私の露店商の前まで来ると、自前の簡易椅子を取り出して座り出した。
「ほらよ、差し入れだ」
「ありがとう。でもお店の方は大丈夫なの?」
「お前の露店と違って、従業員が居るからな。店主の俺が現在は昼休みってわけだ」
「そうなんだ……」
やっぱり、一緒に働いてくれる従業員が居ると、全然負担も違うみたいね。私はボイドさんの酒場が羨ましいと思ってしまった。
「どうなんだ? 儲けの方は」
「そりゃあ……仕入れ値とか考えなくて良いし」
「そりゃそうか……てことは、ボロ儲けってことかよ?」
親の家に住みながら仕事をしている子供とも違う私の現状。確かに元手にお金は掛からないんだけれど……。
「ボロ儲けって……なんだか人聞きが悪い気がするけど。でも、1日の仕事が終わる頃には精神が疲弊するし、本来なら、宿屋に泊まったりで経費がかかると思うわ」
薬屋を始めて2週間近くが経過するけれど、客足という意味では上々だったと思う。こうしてボイドさんと話している時にもお客さんが来たくらいだから。
しかも、泊まっている宿はボイドさんの酒場の2階……決して広くはないけれど、ベッド付きだし、1階の露天風呂も使わせてもらってるしで……正直、申し訳なさすぎる……。
「ボイドさん、そろそろ宿代やトイレ代、お風呂代なんかも払うわ」
「そうか? まあ、俺としてもそっちの方がありがたいが……トイレ代ってなんだ?」
「いや、タダで使わせてもらってるから……」
私は真剣に言ったつもりなんだけれど、聞いていたボイドさんは頭を抱え出した。何か変なことを言ったかしら?
「馬鹿野郎、トイレ代なんざ取る人間がどこに居るんだよ。生命に関わる問題だってのに……」
呆れたような顔でボイドさんは言ってのけた。まあ、確かにそうだったわね……トイレ代なんて言ってしまった、私が失礼だったわ。
「この2週間で稼いだ金額は……マーナおばさんの宿にも何日も泊まれるレベルにはなってるかな」
マーナおばさんの宿屋は、冒険者御用達の宿の中では高級宿になっている。一説では、あそこを貸し切れる冒険者は相当に強い冒険者だとかなんとか。
「そりゃあ、想像以上に稼いでるな。マジで営業時間問題とか解決すれば、もっとデカい店にできるんじゃねぇか?」
「そ、そうかな?」
ここから見える、武具屋「ハーヴェスト」。6階建ての大きな店を構えられたら、それは壮観なんじゃないかと思うけど、現実はそんなに甘くはなかった。
「ちょっと、あなた」
「えっ、私?」
急に私は声を掛けられる。振り返った先に居たのは、私と同年代くらいの女の子だった。腰に両手を当てて、仁王立ちになっている。
「リーシャポーションとかいうお店はここよね? なんでも、スキルで作り出したポーションを販売しているって噂の……」
「え、ええ、そうだけれど……あなたは?」
「私? 私の名前はエミリア・ライトゲージよ。そこの斜め向かいで露店商をしている者なの」
「えっ……露店商を?」
「そうよ」
大通りの向かい側……私はエミリアに言われてそちらの方向を見た。そこには……回復魔術を謳う決まり文句が記載された露店が立っていた。
て、いうことは……このエミリアっていう子は、回復魔導士ってことになるのかしら? この子の自信満々の様子といい……なんだか、嫌な予感がしてしまうわ。
「あ、ボイドさん」
時間は昼を迎え、ぼちぼち「リーシャポーション」の閉店時間になりつつあった。そんな時に、飲み物の差し入れを持って来てくれたのはボイドさんね。酒場の方も昼休みに入っているのか、私の露店商の前まで来ると、自前の簡易椅子を取り出して座り出した。
「ほらよ、差し入れだ」
「ありがとう。でもお店の方は大丈夫なの?」
「お前の露店と違って、従業員が居るからな。店主の俺が現在は昼休みってわけだ」
「そうなんだ……」
やっぱり、一緒に働いてくれる従業員が居ると、全然負担も違うみたいね。私はボイドさんの酒場が羨ましいと思ってしまった。
「どうなんだ? 儲けの方は」
「そりゃあ……仕入れ値とか考えなくて良いし」
「そりゃそうか……てことは、ボロ儲けってことかよ?」
親の家に住みながら仕事をしている子供とも違う私の現状。確かに元手にお金は掛からないんだけれど……。
「ボロ儲けって……なんだか人聞きが悪い気がするけど。でも、1日の仕事が終わる頃には精神が疲弊するし、本来なら、宿屋に泊まったりで経費がかかると思うわ」
薬屋を始めて2週間近くが経過するけれど、客足という意味では上々だったと思う。こうしてボイドさんと話している時にもお客さんが来たくらいだから。
しかも、泊まっている宿はボイドさんの酒場の2階……決して広くはないけれど、ベッド付きだし、1階の露天風呂も使わせてもらってるしで……正直、申し訳なさすぎる……。
「ボイドさん、そろそろ宿代やトイレ代、お風呂代なんかも払うわ」
「そうか? まあ、俺としてもそっちの方がありがたいが……トイレ代ってなんだ?」
「いや、タダで使わせてもらってるから……」
私は真剣に言ったつもりなんだけれど、聞いていたボイドさんは頭を抱え出した。何か変なことを言ったかしら?
「馬鹿野郎、トイレ代なんざ取る人間がどこに居るんだよ。生命に関わる問題だってのに……」
呆れたような顔でボイドさんは言ってのけた。まあ、確かにそうだったわね……トイレ代なんて言ってしまった、私が失礼だったわ。
「この2週間で稼いだ金額は……マーナおばさんの宿にも何日も泊まれるレベルにはなってるかな」
マーナおばさんの宿屋は、冒険者御用達の宿の中では高級宿になっている。一説では、あそこを貸し切れる冒険者は相当に強い冒険者だとかなんとか。
「そりゃあ、想像以上に稼いでるな。マジで営業時間問題とか解決すれば、もっとデカい店にできるんじゃねぇか?」
「そ、そうかな?」
ここから見える、武具屋「ハーヴェスト」。6階建ての大きな店を構えられたら、それは壮観なんじゃないかと思うけど、現実はそんなに甘くはなかった。
「ちょっと、あなた」
「えっ、私?」
急に私は声を掛けられる。振り返った先に居たのは、私と同年代くらいの女の子だった。腰に両手を当てて、仁王立ちになっている。
「リーシャポーションとかいうお店はここよね? なんでも、スキルで作り出したポーションを販売しているって噂の……」
「え、ええ、そうだけれど……あなたは?」
「私? 私の名前はエミリア・ライトゲージよ。そこの斜め向かいで露店商をしている者なの」
「えっ……露店商を?」
「そうよ」
大通りの向かい側……私はエミリアに言われてそちらの方向を見た。そこには……回復魔術を謳う決まり文句が記載された露店が立っていた。
て、いうことは……このエミリアっていう子は、回復魔導士ってことになるのかしら? この子の自信満々の様子といい……なんだか、嫌な予感がしてしまうわ。
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