婚約破棄させてくれないので、仲良し姉妹で対抗します!

ルイス

文字の大きさ
上 下
2 / 2

2話 姉への相談

しおりを挟む

「な、なんですって……? それは本当なの?」

「ね、姉さま……あの、少し怖いのですが……」

「そ、そうね。ごめんなさい、ネリア」


 私は自分の屋敷に戻り、アクア姉さまにキックス・ボルト侯爵の理不尽な態度を話した。すると、姉さま予想以上の剣幕になったのだ。

「しかし……大変だったわね、ネリア。悔しかったでしょう?」

「はい……とても悔しいです、アクア姉さま。こんな理不尽なことがあるのか? というくらいに思ってしまいました」


 キックス様は浮気も同然のことをしている。第二夫人として迎え入れるのは建前で、本当は愛人を囲っているだけだ。その状態で子供を産んだり育てたり、さらには夫人としてのパーティーでの振る舞いは、全部私の方がやらないといけない。

 第二夫人であるシシリーナ様は実質、何もしないも同然だろう。こんなことが許されるはずがない。だからこそ、私はキックス様との婚約破棄を申し出たのに……それは完全に否定されてしまったのだ。


「婚約破棄を認めて貰えない……こんなことはおかしいと思います」

「確かにそうね。ネリアの考えが正しいと思うわ。完全にキックス様が悪いと言えるでしょうね」

「でも、キックス様は婚約破棄をするなら、ハーピー伯爵家がただでは済まないと言っていました。それを言われると、私には返す言葉が生まれてこなくて……」

「こうして屋敷に避難して来たということね?」

「はい……タイミングを見計らって、キックス様の屋敷から出て来ました。あの人の所には1秒も居たくありませんでしたから」

「なるほど、余程、キックス様のことが嫌いになったのね」


 私は大きく頷いた。キックス様への愛情は既に消えていると言えたからだ。まあ、あんなことを言われて愛情を保てる女性が居るとは思えないけれど……はあ。

「よく頑張ったわね、ネリア。そして……よく耐えたわ。後は私に任せておきなさい」

「アクア姉さま? どういうことですか?」

「私の可愛いネリアを傷付けた報いは必ず受けさせるということよ」

「そ、それは……姉さま、危険です!」


 私達が反撃の狼煙を上げるのは簡単だ。しかし、キックス様の脅しが現実のものになってしまうかもしれない。そうなると……お父様やお母様が守って来たハーピー家はどうなってしまうのだろうか。それだけは何としても避けたかった。


「そういえば、ネリアにはまだ言っていなかったわね。そこまで心配する必要はないわ」

「ど、どういうことでしょうか……?」


 アクア姉さまは優しく微笑みながら答えてくれた。

「私はジェラルド・ノーヴァン大公殿下と婚約が成立しているわ。これの意味するところは……分かるわよね?」

「あ、それは……」

 姉さまはいつの間にか、とんでもないお方と婚約していたようだ……その報告は予想外過ぎた。
しおりを挟む
感想 4

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

蜻蛉
2021.10.16 蜻蛉

例え大公が相手でも、こういうアホはどこまでもアホなので、平気で相手にしないと思います。

そして報いを受けるんですけどねw

2021.10.18 ルイス

大公相手に偉そうにしてたら、それはそれで大物になりそうですね……

解除
おゆう
2021.10.15 おゆう

ネリアはキックスと縁が切れた後、誰か良い人と巡り会えないかな?。是非とも誠実な人であってほしい(´Д⊂ヽ。

2021.10.18 ルイス

ネリアの相手は誠実な人で決まりですかね……キックスみたいな人の方がめずらしいので

解除
太真
2021.10.15 太真

姉妹が仲良く策りゃじゃなくて計画するとか‼️楽しみです😃🎶

2021.10.15 ルイス

お楽しみいただきありがとうございます!

解除

あなたにおすすめの小説

「役立たず」と言われ続けた辺境令嬢は、自由を求めて隣国に旅立ちます

ネコ
恋愛
政略結婚の婚約相手である公爵令息と義母から日々「お前は何も取り柄がない」と罵倒され、家事も交渉事も全部押し付けられてきた。 文句を言おうものなら婚約破棄をちらつかされ、「政略結婚が台無しになるぞ」と脅される始末。 そのうえ、婚約相手は堂々と女を取っ替え引っ替えして好き放題に遊んでいる。 ある日、我慢の限界を超えた私は婚約破棄を宣言。 公爵家の屋敷を飛び出した途端、彼らは手のひらを返して「戻ってこい」と騒ぎ出す。 どうやら私の家は公爵家にとって大事で、公爵様がお怒りになっているらしい。 だからといって戻る気はありません。 あらゆる手段で私を戻そうと必死になる公爵令息。 そんな彼の嫌がらせをものともせず、私は幸せに過ごさせていただきます。

婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~

華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。 突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。 襲撃を受ける元婚約者の領地。 ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!! そんな数奇な運命をたどる女性の物語。 いざ開幕!!

あなたのことなんて、もうどうでもいいです

もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。 元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。

婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。

国樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。 声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。 愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。 古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。 よくある感じのざまぁ物語です。 ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。

ふまさ
恋愛
 伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。 「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」  正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。 「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」 「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」  オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。  けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。  ──そう。  何もわかっていないのは、パットだけだった。

悪女の私を愛さないと言ったのはあなたでしょう?今さら口説かれても困るので、さっさと離縁して頂けますか?

輝く魔法
恋愛
システィーナ・エヴァンスは王太子のキース・ジルベルトの婚約者として日々王妃教育に勤しみ努力していた。だがある日、妹のリリーナに嵌められ身に覚えの無い罪で婚約破棄を申し込まれる。だが、あまりにも無能な王太子のおかげで(?)冤罪は晴れ、正式に婚約も破棄される。そんな時隣国の皇太子、ユージン・ステライトから縁談が申し込まれる。もしかしたら彼に愛されるかもしれないー。そんな淡い期待を抱いて嫁いだが、ユージンもシスティーナの悪い噂を信じているようでー? 「今さら口説かれても困るんですけど…。」 後半はがっつり口説いてくる皇太子ですが結ばれません⭐︎でも一応恋愛要素はあります!ざまぁメインのラブコメって感じかなぁ。そういうのはちょっと…とか嫌だなって人はブラウザバックをお願いします(o^^o)更新も遅めかもなので続きが気になるって方は気長に待っててください。なお、これが初作品ですエヘヘ(о´∀`о) 優しい感想待ってます♪

婚約破棄と言うなら「時」と「場所」と「状況」を考えましょうか

ゆうぎり
恋愛
突然場所も弁えず婚約破棄を言い渡された。 確かに不仲ではあった。 お互い相性が良くないのは分かっていた。 しかし、婚約を望んできたのはそちらの家。 国の思惑も法も不文律も無視しての発言。 「慰謝料?」 貴方達が払う立場だと思うわ。 どれだけの貴族を敵に回した事か分かっているのかしら? 隣国で流行りだからといって考えなしな行動。 それとも考えての事だったのか? とても不思議な事です。 ※※※ゆるゆる設定です。 ※※※オムニバス形式。

私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます

めぐめぐ
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。 気が付くと闇の世界にいた。 そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。 この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。 そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを―― 全てを知った彼女は決意した。 「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」 ※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪ ※よくある悪役令嬢設定です。 ※頭空っぽにして読んでね! ※ご都合主義です。 ※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。