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イングランドーーー首都だろうか。
聞き覚えがある名前だった。
(なんだっけ……。あ、絵本……)
リアンは幼い時にベッドの上で母が読み聞かせてくれた絵本の事を思い出した。
それはイングランドに住む妖精の物語だった。
母は妖精の話が大好きで、よくリアンに教えてくれたのだ。
ーーーとても素敵な場所なのよ。
母はキラキラした瞳で空を見上げ、よくそう呟いていた。
だからイングランドという場所は、妖精が沢山いるような神秘的な場所なのだとリアンは幼いながらに思っていたのだ。
「聞き覚えがあるようで」
男性がそう言うと、リアンは少しだけ母の顔を思い浮かべ口元を緩めた。
「……はい」
リアンはお菓子を軽くひとつまみしてから、懐かしげに返事をした。
男性はそうか、とばかりに頷くと、コホンと1つ咳払いし「そういえばーーー」と改まった。
「私の名前を紹介してなかったよね」
男性の言葉にリアンは頷く。
「私の名前はレイユ。バーン・レイユです。」
レイユは前のめりになるとリアンに手を差し出した。リアンはハッと手についたお菓子の粉を軽く払うと慌てて手を差し出し軽く握手をした。
「ーーー今後ともどうぞよろしく」
レイユが暫くしてその場を後にしたあとも列車は止まることを知らず、どんどん先へ進んでいった。
ゆっくり食べていたはずのお菓子も残り一欠片だ。
リアンは紅茶を飲むと、列車の窓を少し開ける。途端に涼しくて優しい風が頬を掠める。
ーーーなんだか悪い気はしないな
リアルは案外安心していた。
あのヴァーレンも姿を見せないし、これではまるで列車に乗った旅行客のようだ。
(少しだけ眠ろうかな……)
リアンは優しい風と心地よい列車の揺れを感じていると、気づけば眠りについていたーーーーーー
聞き覚えがある名前だった。
(なんだっけ……。あ、絵本……)
リアンは幼い時にベッドの上で母が読み聞かせてくれた絵本の事を思い出した。
それはイングランドに住む妖精の物語だった。
母は妖精の話が大好きで、よくリアンに教えてくれたのだ。
ーーーとても素敵な場所なのよ。
母はキラキラした瞳で空を見上げ、よくそう呟いていた。
だからイングランドという場所は、妖精が沢山いるような神秘的な場所なのだとリアンは幼いながらに思っていたのだ。
「聞き覚えがあるようで」
男性がそう言うと、リアンは少しだけ母の顔を思い浮かべ口元を緩めた。
「……はい」
リアンはお菓子を軽くひとつまみしてから、懐かしげに返事をした。
男性はそうか、とばかりに頷くと、コホンと1つ咳払いし「そういえばーーー」と改まった。
「私の名前を紹介してなかったよね」
男性の言葉にリアンは頷く。
「私の名前はレイユ。バーン・レイユです。」
レイユは前のめりになるとリアンに手を差し出した。リアンはハッと手についたお菓子の粉を軽く払うと慌てて手を差し出し軽く握手をした。
「ーーー今後ともどうぞよろしく」
レイユが暫くしてその場を後にしたあとも列車は止まることを知らず、どんどん先へ進んでいった。
ゆっくり食べていたはずのお菓子も残り一欠片だ。
リアンは紅茶を飲むと、列車の窓を少し開ける。途端に涼しくて優しい風が頬を掠める。
ーーーなんだか悪い気はしないな
リアルは案外安心していた。
あのヴァーレンも姿を見せないし、これではまるで列車に乗った旅行客のようだ。
(少しだけ眠ろうかな……)
リアンは優しい風と心地よい列車の揺れを感じていると、気づけば眠りについていたーーーーーー
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