この夏が終わっても

番外編 〜涼side〜

１-４

相手は、３つ年下の女の子だった。
カラオケボックスで、子供にジュースをかけられた僕に優しく声を掛けてくれて、ハンカチを貸してくれた。

一目惚れ、ってあるんだな。って、思った。


両親のような夫婦にはなりたくなくて、将来はいつまでも奥さんと仲良しな素敵な家庭を築きたいって言うのが、僕の夢の一つ。

けれど、好きってよく分からなくて……。
告白されても、自分がその子をどう想ってるのかよく分からなくて……。
気持ちを確かめる為に付き合ってもみたけど”特別”かなんて、ずっと分からなかった。


でも、その子の笑顔を見た途端。
分かるとか、分からないとかじゃなくて……。感じたんだ。

この子だ、って。
心が惹きつけられて、僕は自然とその子から目が逸らせなかった。

名前も知らない女の子。
1分も一緒に居なかったのにその子の事が頭から離れなくて、本当の恋を知った僕は、付き合っていた彼女とはすぐに別れた。