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(4)アランside
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しおりを挟む「……、アラン様。あのっ……」
「ーー行くなッ!!」
彼女を失いたくないーー!!
そう思ったオレは彼女に駆け寄ると、腕の中に閉じ込めて離さないよう力一杯に抱き締める。
いつもとは違う。ただ抱き締めているだけ。
それなのに、素肌と素肌で触れ合っている時よりもその温もりが一層愛おしく、離したくないと感じる。
手放すなんて、考えられない。
「っ……。好きだ」
「……え?」
……そしたら。何度もシュミレーションした言動なんてぶっ飛んで、オレの口から自然と言葉が漏れた。
止まらない、感情。
「週刊誌を見たのなら、あれは全くのデマだ!どちらも仕事の流れで、それを撮られただけだっ……!」
「……」
「っ……お前だけだッ」
腕の中で黙ったままの彼女に必死で語りかける。
計算も計画も全くない。真っさらな、今の自分の気持ちを……。
「これからもずっと、傍に居て欲しいのはお前だけだッ……!」
ーーっ、違う。
"女"でも、"お前"でもない。こいつは……。
「ーースズカ」
「っ……!」
「ずっとオレの傍に居てくれっ……スズカ」
スズカーー。
気持ちに気付いてからやっとその名前が口から出た瞬間、腕の中の彼女がビクッと反応した。
しかし。感情の勢いに任せて話し終えると、部屋の中がシーンッと静まり返る。
スズカは何も答えない。ただ、また黙ってオレに抱き締められているだけだ。
……。
ちょっと待て!オレ、今何を言った……ッ?!
相手の返答がない様子に、何か大事な部分が抜けていたのではないか?と不安が襲ってくる。
オレの気持ち、伝わらなかったのか?
もう一度ストレートに「愛してる」とか、言ったほうがいいのかっ……?!
……そうか!早口すぎて伝わらなかったのかも知れない!
沈黙の間に耐え切れなくて、ぐるぐると色んな想いが頭を巡った。
その末。ここはもう一度仕切り直そうと、心を落ち着けて当初の予定通り行こうと身体を少し離し、彼女の両肩を掴んで見つめようとした。
……けれど。
飾らない心を曝け出せた、その時ーー。
「ーーアラン様」
「!!ッーー……」
スズカの濡れた瞳と視線が重なった時。
まるで彼女の今の感情がそのままオレに移ったように、涙が溢れた。
それは、オレ達がようやく同じスタートラインに立てた瞬間ーー。
……ああ、そっか。
これが、ようやく誰かと同じ景色を見られたって事なんだ。
そう感じて、暖かくなる心。
そしたら言葉にされなくても、相手の心が分かったような気がした。
そしてきっと、オレの気持ちも彼女に……。
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