上 下
149 / 185
最終章(3)アカリside

3-5

しおりを挟む

「で、でもっ……子供達はどうするのっ?」

「静かにやればいいじゃん。
アカリが声出さなければ楽勝楽勝~♪」

「!っ~~い、意地悪!」

「なら、モニカ様かローザ殿に頼むか?理由話せば面倒見てくれるぜ?きっと」

「!!ッ~~それは絶対にダメっ……!!」

完全に揶揄からかわれている。
「もうっ!」と私が拗ねてそっぽを向くと、ヴァロンはすぐさま「ごめんごめん」と謝りながらご機嫌取りを始めた。

「アカリ、良い事教えてあげるから許して?」

「……、良い事?」

別に本気で怒っている訳ではないが、素直に許すのも何だか悔しくて「本当に~?」と疑う私だった。
けれど、ヴァロンの言葉に私はやっぱり笑顔になってしまうの。

「俺達の、次の子供の名前」

「!っ……えっ?名前、もう考えてるのっ?」

ヒナタの時は産まれる前から。ヒカルに至っては出来る前から名前を決めていたヴァロン。
相変わらず気が早い。
思わずくすくすと笑ってしまう私の耳に口を近付けて、彼が囁く。


「……ーーー!
っ、……すごい!それ、すごく素敵な名前!」

由来と名前を聞いてパァッと微笑むと、ヴァロンも「良かった」って幸せそうに微笑った。

……
…………。

私の……。
いや。私達のその夢が叶うのは、想像していたよりも少し後になる。
その間に私達の間にはまた色んな事があって、その後も色んな事があって……。物語は終わらない。

けどそれは、また別の誰かに引き継がれて行くの。

『自分で自由に羽ばたけるように、ツバサ』

何かの終わりは、何かの始まり。
夢の言葉は、翼に乗せて羽ばたき始めていた。


【夢の言葉シリーズ-完-】

※ 長らくご愛読頂き本当にありがとうございました!m(_ _)m
あとがきの後にアランの番外編を掲載する予定です。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです(o^^o)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

【完結】婚約破棄された聖女が仕事を辞めたら、最強騎士団長からの求婚が止まらない?!

翠華
恋愛
 大聖堂で『聖女』として国を支えてきたセシリア・エラフィーナ。婚約者であった王子から一方的に婚約破棄を告げられた彼女は、心も体もボロボロだった生活から何とか逃げだし、田舎でのスローライフを密かに楽しんでいた。  しかし、ある一人の男の訪問によって壊されてしまった。彼の名はレオナード・ヴァルハルト。国一番の剣の腕を持つ騎士団長。大聖堂へと連れ戻されると覚悟を決めたが、彼からは信じられない言葉が発せられた。 「セシリア様、私と結婚してください!」 果たしてセシリアは、自由と平穏を手に入れることができるのか。そして、レオナードとの間に芽生える感情の行方は?一方で、聖女の存在を取り戻そうとする王族の陰謀は激化し、次々と迫り来る危機が二人に迫るのであった。 いいね・お気に入り登録、よろしくお願いします。

粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる

春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。 幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……? 幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。 2024.03.06 イラスト:雪緒さま

【完結】本音を言えば婚約破棄したい

野村にれ
恋愛
ペリラール王国。貴族の中で、結婚までは自由恋愛が許される風潮が蔓延っている。 奔放な令嬢もいるが、特に令息は自由恋愛をするものが多い。 互いを想い合う夫婦もいるが、表面上だけ装う仮面夫婦、 お互いに誓約書を作って、割り切った契約結婚も多い。 恋愛結婚をした者もいるが、婚約同士でない場合が多いので、婚約を解消することになり、 後継者から外され、厳しい暮らし、貧しい暮らしをしている。 だからこそ、婚約者と結婚する者が多い。だがうまくいくことは稀である。 婚約破棄はおろか、婚約解消も出来ない、結婚しても希望はないのが、この国である。 そこに生まれてしまったカナン・リッツソード侯爵令嬢も、 自由恋愛を楽しむ婚約者を持っている。ああ、婚約破棄したい。 ※気分転換で書き始めたので、ゆるいお話です。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

処理中です...