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第25章(3)ディアスside

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……。
アンナ様は約束通り私の呪縛を解き、私の知りたかった全てを話してくれた。

自分がシャルマ様と兄妹である事。
故に希血を受け継いでおり、父や周りにシャルマ様よりも愛された事から怒りを買い、やしきから追放された事。
目の前で父を殺されたショックで記憶を失い、気付いた時には娼婦の館。生きていく為に、その場所で生きる術しか見出せなかった事。

そして、何故私に力を貸して欲しいのか、と。
リオン様と最後に過ごされた夜に、何を聞いたのか……。


「貴女も知っての通り、私の能力ちからは同じ一族の兄には通じません。
……だから。私の代わりに、討ってほしいのです」

貴女が罪にならぬよう、後の始末は私がする。
だから、力を貸してーー。

……アンナ様は全てを話し終わった後に、もう一度私に深く頭を下げた。
断る理由など、ない筈だった。
ようやく長年縛られていた呪縛から解き放たれ、自由になれるのだから……、……。


そうすれば、シオンとも……。息子と一緒に、普通に暮らす事が出来る。
こんな風貌だからずっと"父"だと偽り、理由を理解してくれた優しい院長先生の小さな孤児院に預けて、これまで育てて来た。


それは三度目の妊娠、三十代最後の年に身籠った命。

一度目の妊娠は、シャルマ様の女としての勤めをするようになって1年程過ぎた頃だった。
二度目は、二十代半ば頃だっただろうか……。
一度目に僅かな希望を抱き、父親であるシャルマ様に懐妊を告げたが……、……。

『……そうか。コレでなんとかしろ』

ーーーそれで始末しろーーー

札束を投げながらそう言われた時、私には永遠に訪れない"幸せ"だと思った。
だから二度目はもう告げる事もなく、誰に知られる事もなく始末した。


けれど……。

『ディアス?……もしかして、妊娠してる?』

それは二人目の子供を諦めた際。医師からもう妊娠は難しいと診断されていたから、油断していた三度目の妊娠。
今までない体調不良から、1番知られたくないあの方に……。リオン様に悟られてしまった。
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