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第24章(4)マオ&ヴァロンside
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しおりを挟むミネアさんに差し出された品物を見て、思うのではなく感じた。
覚えていないけど、知っていた。
これは、"俺の物"だとーー。
ずっとずっと探していた気がした。
だから、まるで惹きつけられるかのように……。躊躇する事なく、本と箱を受け取ると、ようやく自分の手の中に戻ってきたそれをじっと見つめる。
本は、父さんが書いた本。
これには、まるで俺の人生を父さんが分かっていたかのように主人公ヴァロンがよく似た人生を歩んでいた。
けれど、愛おしい女性、大切な家族と仲間、自分の居場所から引き離された主人公の最後の結末は書かれていなくて……。
それは、"未来は自分の手で描け"と、言われているように感じた。
ーーでは、その未来とは?
記憶を失って、自分の道標も失くしてしまっていた僕。そんな僕を導いてくれるのは、他の誰でもない俺からのメッセージだった。
本を棚に置くと、手中に残った箱の蓋をゆっくりと開ける。
そこに入っていたのは、ターコイズのブレスレットと一枚の写真。
『ヴァロンに、作ったの。貰ってくれる?』
ブレスレットを瞳に映した瞬間。
愛おしい声が、聴こえた。
『ターコイズの石はね、ネガティブなエネルギーを払いのけて、困難を乗り越えて願望を達成するためのサポートをしてくれるんだって』
『ヴァロン、最近何かに悩んでるみたいだったから……。心配、だったの』
知ってる。
それは、このブレスレットを貰った時の言葉だ。
"ヴァロン"と、愛おしい声が俺の本当の名前を呼んでくれる。
『……ちょっと、可愛すぎるかな?
あ、恥ずかしかったら……付けなくていいから』
恥ずかしそうに、モジモジしながら、俺の手首にブレスレットをはめてくれた。
その女性は、誰よりも俺が産まれてきた事を喜んでくれた。
誰よりも俺を愛してくれて、支えてくれて、信じてくれた。
誰よりも俺の心に寄り添ってくれて、いつも1番傍に居てくれた。
その女性は間違いなく、写真の中で赤ん坊を抱いて俺と映る君。
「っ……アカ、リ」
思わずその名を呼んでいた。
ブレスレットと共に入っていた一枚の写真。
そこに映っていたのは、自分と、愛おしい娘を抱いたこの世で1番大切な女性だった。
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