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第24章(3)ミネアside
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しおりを挟む書けなかったのだ。
リオン様は、家に、立場に縛られて……。自由を、笑顔を奪われて、もう書けなかったのだ。
わたくしの知っている、あの寂しそうな笑顔の理由が、ここに在った。
「……どんな、結末だったの?」
「ん?」
「貴方と同じ名前の主人公の結末。どんな風だったの?」
「……見る?」
そう言うとヴァロンは、わたくしの質問の答えを本のページを開いて見せた。
そこにあったのは……。
「!っ……どういう、事?」
そこには、何も書かれていなかった。
真っ白で、ただ、無地のページ。
これは一体?と、目を丸くしているわたくしにヴァロンが言葉を続ける。
「……俺の手で、書けって」
「え?」
「"あとは、自分で決めろ"って、言ってくれてる気がするんだ」
ヴァロンは呟くと、閉じた本を大事そうに胸に抱きながらわたくしの目の前で一筋の涙を流した。
「……俺、生きなきゃ。
父さんと母さんがくれた命、大切にする。
産まれてきて良かった、って、やっと心から思えたからっ……」
その、美しい心を持った天使のような人を見て、"特別に想うな"って言う方が無理だった。
この人の傍に居たら、わたくしも変われる?
気持ちも、心も美しくなれて、みんなに愛してもらえる?
……この人に、愛してもらえたら、わたくしも幸せになれる?
貴方が笑顔で居られる為に頑張るから、どうか、わたくしを愛してーー?
……
そう、強く強く、思ってしまった。
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