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第22章(1)スズカside
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しおりを挟むそれは、今も忘れもしない私の初恋の想い出だ。
……そうよね。
お会いする前から、身構えていても仕方ないわ。
マオ様のお世話役を任された時も、最初は嫌で嫌で仕方なかった。
けれど、それが今や私にとっては大切な想い出。
奥様も良い方かも知れない!と、私は希望を持つ事にした。
しかし。
気持ちを切り替えて私がお迎えする用意を進めていると、部屋に付ける新しいカーテンを持ってきてくれた使用人達が言う。
「何でもお相手は一度別の男性に嫁いだ事があるらしくて、その方との間に子供がいるんですって。
でも、その子供達を手放してまでここに嫁いでくるらしいわよ!」
「え~!なにそれ!
子供を捨ててまで自分の幸せを優先したって事?」
「さすがアラン様の奥様になられる方!って感じよね~」
……とりあえず。
事前情報ではあまり期待しない方がいいかしら?と思った私は、深く考えるのをやめた。
すると、久々に思い出したからか次第にマオ様の事が再び私の中で大きくなる。
約一年間滞在された後、マオ様は一度愛する方の元に戻られると言ってこの邸を去って行った。
けれど、それから半年くらい経った頃だっただろうか。病気を患ったマオ様がシャルマ様のお邸に居ると聞いて、外国で手術を受けた後に再び戻って来て……。その際、自闘病生活を支えてくれたというミネア様との婚約が噂されるようになった。
そして現在。去年の終わりにミネア様のご懐妊が明らかになり、マオ様は義父になられるハンク様の元で仕事を手伝っていると聞いている。
けれど、私にはどこか腑に落ちなかった。
私は、マオ様を知っている。
上手く言えないが私の知る限り、マオ様がミネア様を選ぶとは思えなくて……。
あのお二人が並んでいる姿が想像出来ない、と言うか……。
そう。
最後、別れの日にマオ様が私に言った言葉。
『待っててくれてる人がいる。
俺はもう……彼女以外、愛せない』
『夢を……。
俺の夢を叶えられる、唯一の人……です』
そう言った時のマオ様の言葉と表情を思い出すと、私の中に浮かぶのはミネア様ではなく別の女性。
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