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第21章(2)アランside
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しおりを挟む「……と、いう訳で。彼女の祖父であるアルバート様の承諾を得ました。
アカリ様には近々私の邸に移り住んで頂き、結婚式の準備を進めて行こうと思っています」
二月上旬。
祖父シャルマの邸に招かれた私は、食事の席でアカリ様との件を報告した。
可愛い孫娘の事、彼女の子供の事、様々な葛藤があった事だろう。アルバート様は約ひと月悩まれた末に、私にアカリ様を任せてくれた。
この報告に、シャルマ様は……。
「うむ、そうかそうか。
お前がまさか、アカリ様を所望するとは思わなかったが……。まあ、いいだろう。好きにしろ」
意味深な笑みを浮かべながらも、意外にもあっさりと受け入れる。
ホッとすると同時に不安も過るが、どんな事があろうとアカリ様を護ると私は決めていた。
「ありがとうございます」
「ふむ。
して、マオ。お前の方はどうなのだ?」
私の話がひと段落すると、正面に座っているシャルマ様は私の隣に座っている兄上に話を振った。
正直、アカリ様との結婚の報告で反応が気になったのは、シャルマ様よりも兄上。
しかし兄上は、表情を変える事もなく淡々としていた。
そして、シャルマ様への受け答えも……。
「このままではアランの結婚式の方が先になってしまうぞ?
お前も早くミネア様と式を挙げ、世間にその存在を知らしめ確かなものにしろ」
「……シャルマ様。
その件ですが、今はミネア様の体調が最優先。式は子が無事に生まれてからでも、私はいいと思っております」
兄上は以前の兄上とは全く違う。
ビクビクオドオドする事もなく、真っ直ぐにシャルマ様を見返していた。
いや、それどころか……。
「それに、式を挙げるのは私の存在を知らしめる為に行うのではありません。
私はミネア様の夫して、彼女が築く未来を支えていける存在で在りたい」
それはまるで、シャルマ様に対しての宣戦布告のように感じる。
「どうか、ミネア様の事は全て私に一存して下さい。
……よろしくお願いします」
これ以上踏み込まれないように、"口を出すな"とも取れる兄上の言葉に、その場の空気が張り詰めていくのを感じた。
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