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第20章(4)マオside
4-5
しおりを挟む愛してるーー。
違う。
そんな飾りの言葉では、僕の気持ちは伝わらない。
僕がミネアさんに強く望む想い。
彼女が欲しい言葉ではないかも知れない。
けど、初めて僕がミネアさんに望む事ーー。
「っ……な、……いでッ」
「っ、……え?」
ようやく僕の口から出た呟きに、ミネアさんの動きが止まる。
僕は彼女の両肩を掴むと、真っ直ぐ瞳を見つめた。
「っ……死なないで、下さいっ」
それは、嘘なんて微塵もない僕の今の本心。
今の僕が、1番望む事。
僕には出来なかった。
目の前の、今消えそうになっている命を見逃して、自分の幸せを望む事なんて……出来なかった。
「ミネアさんがいなくなったら……僕は、っ……悲しいです!」
「……マオ、さまっ」
「いなく、ならないで下さいッ……」
「っ……ぅ、ッ……っ~~!!」
ミネアさんは声を殺しながら、僕に抱き付いて泣いた。
鳴き声を上げずに泣くその姿に、僕の胸はまた痛む。
きっとミネアさんは、幼い頃からずっと独りでこうやって泣いていたんだ。
誰にも気付かれないように、ずっと……。
「……ミネアさん。
僕とミネアさんと、この子と……家族になりましょう?」
ミネアさんのお腹にそっと触れて、僕はプロポーズした。
たいした事は何も出来ない僕だけど、いつかミネアさんが声を出して素直に泣ける存在にはなろう。
産まれてくる子供に、孤独を感じさせない存在になろう。
血の繋がりも、性別も、容姿も、得意不得意も……。どんな子でも、気にしない。
誰よりも、大切に、愛して、いつか「生まれてきて良かった」って思ってほしい。
そう思って、僕はこの人生を選んだーー。
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