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第20章(4)マオside
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***
ミネアさんが倒れたーー。
ハンク様からの電話でそう聞かされた僕は、すぐに教えられた病院に向かってた。
別れ話をしようと思っていた矢先だったけど、報せを受けた時は正直そんな事は忘れて必死に、とにかく少しでも早くミネアさんの元に行かなきゃ、って思った。
「っ……ハンク様!
そのッ、ミネアさんはっ……?!」
駆け付けた病室前の廊下。
白衣を着た医師らしい人物と話すハンク様を見付けた僕は、息を切らしながら尋ねた。
すると、予想をしていた反応とは全く違って……。
「おおっ、マオ君!喜べ!!」
喜べ?
笑顔のハンク様が声を弾ませて言う。
「ミネアが、おめでただそうだ!」
「……え?」
「ミネアに子供が出来たそうだ!
良かったなぁ~!君も嬉しいだろう!」
ーーえ?
今、おめでたって……。ミネアさんに子供が出来た、って……言った?
信じられない言葉に、走ってきて上がっていた筈の呼吸もあっという間に静かになって。
身体の熱も、一気に冷めていくようだった……。
ミネアさんの妊娠は、僕にとって全く身に覚えのない事だった。
避妊がどうとか、周期が合わないとか、そういう問題ではなくて……。
だって僕は、彼女を抱いた事なんて一度もないのだから……。
ならば、何故?
医師がそう診断したのだから、間違いなんて事はおそらくないだろう。
でも、それなら……ミネアさんのお腹の子供の父親は一体誰?
……考えても考えても、僕には全く分からなくて。
ミネアさんに聞こうにも、なかなか話せるタイミングがなくて……数日が経った。
「騒がしくしてすまなかったね。
ミネアと二人きりで喜びを分かち合いたいだろう?医師に許可をもらってあるから、今夜は泊まってやっておくれ」
親戚の人や仕事で親しい人がミネアさんの懐妊の噂を聞きつけてお祝いに訪れる日が続く中。気を遣ってくれたハンク様の配慮で、ようやく二人きりになる機会がやってきた。
でも、何から話せばいいのか正直分からないままハンク様達が帰られて……。夜、僕とミネアさんは個室の病室に二人きりになった。
ミネアさんが倒れたーー。
ハンク様からの電話でそう聞かされた僕は、すぐに教えられた病院に向かってた。
別れ話をしようと思っていた矢先だったけど、報せを受けた時は正直そんな事は忘れて必死に、とにかく少しでも早くミネアさんの元に行かなきゃ、って思った。
「っ……ハンク様!
そのッ、ミネアさんはっ……?!」
駆け付けた病室前の廊下。
白衣を着た医師らしい人物と話すハンク様を見付けた僕は、息を切らしながら尋ねた。
すると、予想をしていた反応とは全く違って……。
「おおっ、マオ君!喜べ!!」
喜べ?
笑顔のハンク様が声を弾ませて言う。
「ミネアが、おめでただそうだ!」
「……え?」
「ミネアに子供が出来たそうだ!
良かったなぁ~!君も嬉しいだろう!」
ーーえ?
今、おめでたって……。ミネアさんに子供が出来た、って……言った?
信じられない言葉に、走ってきて上がっていた筈の呼吸もあっという間に静かになって。
身体の熱も、一気に冷めていくようだった……。
ミネアさんの妊娠は、僕にとって全く身に覚えのない事だった。
避妊がどうとか、周期が合わないとか、そういう問題ではなくて……。
だって僕は、彼女を抱いた事なんて一度もないのだから……。
ならば、何故?
医師がそう診断したのだから、間違いなんて事はおそらくないだろう。
でも、それなら……ミネアさんのお腹の子供の父親は一体誰?
……考えても考えても、僕には全く分からなくて。
ミネアさんに聞こうにも、なかなか話せるタイミングがなくて……数日が経った。
「騒がしくしてすまなかったね。
ミネアと二人きりで喜びを分かち合いたいだろう?医師に許可をもらってあるから、今夜は泊まってやっておくれ」
親戚の人や仕事で親しい人がミネアさんの懐妊の噂を聞きつけてお祝いに訪れる日が続く中。気を遣ってくれたハンク様の配慮で、ようやく二人きりになる機会がやってきた。
でも、何から話せばいいのか正直分からないままハンク様達が帰られて……。夜、僕とミネアさんは個室の病室に二人きりになった。
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