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第10章(4)アカリside

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き、気持ち悪い?
つわりの事、かな……?

質問の意味が分からずキョトンとしていると、アラン様は私の居るベッドの傍に来て、真剣な表情で口を開く。


「腹に、子が……。自分の身体の中に、別の人間がいる、って……。どんな感じなんだ?」

「え?……」

考えた事もなかった質問に、私はアラン様を見つめたまま呆然とした。

女性が子供を身籠もる。
すごく当たり前というか、普通の事だと思っていたから、そんなに深く考えた事はなかったが……。

確かに、人間の中にもう一人人間がいる。という事は、実はとてもすごい事で不思議な事なのではないか、と思った。


私を見つめているアラン様の瞳。
子供みたいに純粋で……。
また、私にはヴァロンと被って見えてしまう。

勿論、私が愛しているのはヴァロンたった一人だけど。
目の前のこの人を、何だか可愛いと思ってしまう自分がいた。


「気持ち悪くなんて、ないよ。
とっても幸せな事だよ?家族が増えるって」

私は質問に答えると、アラン様の片手を取って屈むように促し、その手を自分のお腹に触れさせた。
一瞬アラン様はビクッと手を揺らして離そうとしたが、私は彼の手に自分手を添えて一緒にお腹に触れながら口を開く。


「この人はね、パパの弟さんだよ。
叔父さんに会えて嬉しいよね?……ヒカル」

「?……ヒカル?」

「うん、赤ちゃんの名前。
次の子供はヒカルだって、ヴァロンが考えてくれたんだ。素敵な名前でしょう?」

私が笑顔で問い掛けると、「親バカだな」ってアラン様は呟いたけど……。
ほんの少しだけ、微笑ってくれた。


「……何だったら、食える?」

「!……え?」

「……。
食事、お前の食べ易い物を用意する」

そう言ったアラン様の雰囲気は、すっかり変わっていた。
穏やかな瞳で、私を見てくれた。
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