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第5章(2)ヴァロンside

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「……今度、ゆっくりお話したい事がございます。お時間を頂けますか?」

「……」

俺を見つめる、さっきとは少し違うディアスの切ない瞳を見た瞬間に……。再度確信する。

会った事がある、と。
商店街のアンケートの以前、それよりもずっとずっと前に……。俺はあの瞳を、見上げた。


……”見上げた”?
ディアスの身長は俺と同じ位。
そのディアスを、俺が見上げた。って、事は……。

……。


「私は配達人の寮に住んでおります。
ヴァロン様のお時間がある時に……。いつでも、お待ちしています」

ディアスは俺に寮の場所と部屋番号が書かれたメモを手渡すと、一礼して去って行った。

……。

みんな、伝えたい事があった。
話したい事が、あった。

けど、幸せな今を壊さないように必死だった。

優しさが、後悔に変わる事もある。
一期一会の大切なタイミングを逃してしまった事。

気付くのは、数日後。

……
…………。
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