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第3章(1)ヴァロンside

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「本当だ。……一緒に見れたな」

俺がそう言って微笑むと、アカリも嬉しそうに微笑って……。その直後に「あ!願い事するの忘れたぁ~!」って騒ぎ出した。
その姿が可愛くて、思わず吹き出して笑うと彼女が顔を真っ赤にして拗ねたように見つめてくる。

先の見えない、分からない未来ばかり気にしないで、俺の目の前にある確かな幸せを大切にして生きていこう。って、思えた。


「……決めた」

「?……決めた、って。何を?」

「俺達の次の子供の名前、決めた」

「!……へ?」

俺の突然の言葉に、アカリは呆気に取られて固まった。
そんな彼女の手を取ると、その手の平に俺は自分の人差し指で文字を書きながら説明する。


「輝くの”輝”って書いて、”ヒカル”。
今日アカリと見た綺麗な星空を、ずっと忘れずに生きていけるように。
……で、いつか。
また、ここに来よう?家族みんなで星を見たい」

「ヴァロン」

俺の言葉に、アカリは嬉しそうに頷いてくれた。


「ヒカル、かぁ。
……うんっ、男の子でも女の子でも可愛いね!」

次の子供の名前の提案にも喜んで賛成してくれて、幸せそうな表情で再び星空を見上げるアカリを俺は背中から抱き締めてもう一度誓う。

ギル、俺はアカリを絶対に離さない。
どんな未来が待ってても、一緒に生きていく。


「俺にそっくりな男の子、だろ?
……でも。アカリが息子ばっかりに構ってたら、俺は妬くからな」

「妬く必要、ないよ。
私の1番は、ヴァロンだもん」

前に回している俺の腕に、アカリは優しく手を添えてとても幸せそうに微笑ってくれた。
この笑顔が力になる。
また明日も、彼女が微笑んでくれるならどんな暗闇も真っ白に変わるんだ。


「あんま可愛い事言うな。
……また、抱きたくなる。だろ?」

「っ……」

片腕をアカリの太ももの下から回してひょいっと抱き上げてお姫様抱っこすると、最初は驚いた表情をしていた彼女が、微笑んで抱き付いてくれる。
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