グレイ

第４章（５）紫愛side

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「人と魔物が共存出来る世界を創る。
確かに、私情だと言われたらそれまでだ。否定はしない。
俺は、自分の子供達が苦しんで、辛い想いをして、悲しい涙を流さずに居られる世の中を創りたい」

自分の子供達が涙を流さずに居られる世の中を創りたいーー。

私はこの言葉を、今すぐ兄貴にーにに聞かせたいと思った。パパのこの想いを、しっかり伝えたい。
血の繋がりはなくても、パパと兄貴にーには紛れもなく親子なんだ、って今すぐに伝えに行きたい。

けど、その前に……。

「でも、俺はそんな世界を創る事は決して自分の家族だけの得ではないと思っている。間違っているとは思わない。
総指揮官としてお前達の事も大切に想っているし、俺を支え、慕い、付いて来てくれる事に感謝している。
……だが。こんな大事な事を、ずっと秘密にしていた点は謝る。本当にすまなかった」

パパは丁寧に頭を深く下げて、少しして上げると、真っ直ぐ姿勢よく立ち、みんなを見ていた。

どんな視線や言葉も受け止めるーー。

私にはパパの表情が、そう覚悟を決めているように見えた。

さぁ、それに対するみんなの反応はーー？

兄貴にーにの元に早く行きたい。
でも、その前に、今はこの場を乗り越えなくてはならなかった。

みんなを、敵にはしたくない。
けど、もしもの場合はーー……。

振り切って、逃げなきゃ。
もうみんなと一緒に居られなくなっても。守護神ガーディアンの隊員でいられなくなろうとも……。私は、まだ立ち止まれない。

パパを失いたくない。
兄貴にーにを失いたくない。
私達の全てを知っていても優しくしてくれたマリィを失いたくない。

そして私は、ママに会うまで生きなきゃいけないんだーー。

私は、これまで守護神ガーディアンで築いてきたものと仲間みんなを、捨てる覚悟だった。

ーー……でも。
そんな私は、とても馬鹿で愚かだった、と気付かされる。