グレイ

序章〜プロローグ〜

紫愛side 0-2

もちろん、この魔器マギを扱う事が出来る人間には、条件があります。

魔器マギに宿る魔物の力に負けず、常に従わせて戦い続ける事の出来る強い肉体と、精神力を持つ者ーー。

その条件をクリアした隊員のみが、魔器マギを扱え、魔物に対抗する事が出来るのです。


魔器マギが開発された事により、人類には僅かながら平和が訪れると思われていました。

けれど、それは……。
なんと魔物にではなく、味方だと思われていた人類の手によって、実は内側から破壊されていくのです。

守護神ガーディアンで1番上トップの研究員のだった橘たちばな 涼夜りょうやと言う男は、「人々の為」と言う正義の仮面の裏で、密かに恐ろしい研究を進めていました。

それは、

人間の良い部分と、魔物の良い部分を掛け合わ融合させて、"人型魔物"と言う兵器を造り出す事ーー。

幾度と失敗し、幾度となく繰り返された実験の末……。橘たちばなは、自らの息子達を人型魔物にする事を成功させました。

その橘たちばなの息子の一人であり人型魔物が、私を産んでくれたママ……。


……え？
息子なのに、「産んだ」とか「ママ」だとか、おかしいって？

そっか、そうだよね。
普通は、そう思うよね。
でもね、さっき言ったみたいに、私を産んでくれたママは人型魔物なの。

「純白の妖精」の異名を持つ、真っ白な飛龍ースノーフォールー。

それが、私のママの血に混ざっている魔物。
スノーフォールはその希少価値の高さから幻龍とも呼ばれていて、絶滅を回避する為に性別が雄であっても、他種族との交わりで子を身籠り、産む事が出来るよう進化を遂げた。

そして産まれたのが、私。
人型魔物である橘たちばな 咲夜サクヤと、守護神ガーディアンの隊員全てを束ねる総指揮官である望月もちづき 紫夕しゆうの娘。

望月もちづき 紫愛シアーー。