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君と桜の木の下で〜俺が春を好きになったのは……〜
1-4
しおりを挟む指にはめられた指輪を驚き見つめる彼女に、俺も自分の左手薬指にペアで造った指輪をはめて見せると……。
目の前で、パァッと花が咲いた瞬間を見たようだったーー。
初めての、お揃いの品である夫婦の証を何度も何度も交互に見ていた彼女は、瞳を涙で潤ませ。その、言葉では伝えきれなかった歓喜を身体全体で表すように、最高の笑顔で俺に飛び付いてきた。
ーー全く。
幸せをもらうのは、いつも俺の方だ。
彼女には一生敵わないのだと、一度抱けば離し難くなる腕の中の愛おしい温もりが告げる。
彼女との想い出ならば、すべて忘れられない大切な日に変わるのだとーー。
「……Everything is special if you are with you」
「え?なに?何て言ったの???」
指輪の内側に刻んだ想いを呟くと、聞き取れなかった彼女が分かりやすいくらいに頭の上に?マークを浮かべて見上げてくる。
恥ずかしくて素直になれない俺が「内緒!」って意地悪そうに微笑って言うと、彼女は頬を膨らまして拗ねた。
でも……。
「ほら、行くぞ」
俺が手を取って歩き出せば、「もうっ」て微笑みながら許してくれるんだ。
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